岸田改造内閣は2人 政治分野の男女平等、139位

日本は大きく後れを取る。WEFは経済、教育、健康、政治の4分野で男女平等の達成度合いを示す「ジェンダー・ギャップ指数」を公表している。日本の評価が著しく低かったのは「政治参画」で、調査対象146カ国のうち139位だった。

7月の参議院選では各党が女性候補を積極的に擁立し、女性の当選者数は過去最高の35人となった。参議院全体の女性比率も25.8%と過去最高の水準だが、衆議院では9.9%にとどまる。8月の岸田政権の内閣改造でも首相を除く19の閣僚ポストのうち女性閣僚は2人にとどまった。

関西大学の多賀太教授は課題の一つとして「日本の政界が年功序列となっている」ことを挙げる。政策決定層は女性の政界登用が進まなくても直接困ることのない年代の高い男性が中心。政界の男女比に問題意識を持つ若い層や女性が限られることで、政策決定する側が「現状に甘んじている」とみる。

「数値目標や達成できない際の措置が必要」

現状の打破に向け、お茶の水女子大学の申琪栄(しん・きよん)教授は「数値目標や、達成できなかった際の追加措置が必要」と話す。

内閣府によると、候補者や議席の一定割合を女性に割り振る「クオータ制」を採用しているのは世界196カ国・地域のうち118カ国・地域(20年2月時点)にのぼる。 フランスでは下院の女性議席の割合が37%を超え、候補者の男女同数を法令で定めた2000年の12%台から大幅に伸びた。韓国も国政選挙の比例代表候補者名簿で50%以上を女性に割り当てることを義務づけている。

こうした国では達成度合いに応じて政党への補助金を増減するといった措置も講じる。フランスでは国民議会(下院)選挙で、男女の候補者の割合の差が大きいほど政党助成金を減額する。韓国では選挙区に女性候補者を推薦した比率に応じて補助金を支給する。政党交付金の10%を女性候補の発掘や育成用の基金に使うことも法律で定める。

日本は2018年に「政治分野における男女共同参画推進法」を施行したが、努力義務にとどまり政党に対する罰則規定がなく、まだクオータ制採用に至っていない。

選挙制度以外にも課題は残る。多賀教授は「議員の働き方を改善することも重要」とした上で「政界で意思決定層に若手が増えれば女性を登用して政策を変える動きが出るはずだ」と期待を示す。

国連大学の白波瀬佐和子上級副学長は「性別にかかわらずに人を育てる環境を組織がつくっていくことが大切だ」と、長期的に社会参画する女性人材を増やすことの重要性を強調する。

■EU、経済分野での登用加速
民間でも女性の登用を後押しする動きが加速している。欧州連合(EU)は6月、域内27カ国の全上場企業を対象に2026年半ばまでに社外取締役の40%以上または、全取締役の33%以上を少数派の性別にするよう求める法案で大筋合意した。

EU域内の全取締役に占める女性比率は21年10月時点で30%に達したが、企業単位での達成を求めることで登用が進んでいない域内国や企業の比率向上を後押しする。目標未達の企業は理由と対策を公表しなければならず、報告が不十分だと罰則の対象となる。

経済の活性化に女性の活躍は不可欠だ。日本企業に対しても、内外の投資家の目線は厳しさを増している。政治の分野でも、女性を登用する仕組み作りが求められている。
(清水麻椰、武藤珠代)

[日本経済新聞朝刊2022年8月29日付]