塩作りの現場 足を運べば がぜん興味がわいてくる魅惑のソルトワールド(69)

汗にまみれて塩作りにいそしむ職人

新型コロナウイルス禍による行動制限が緩和され、にわかに旅行ブームが起きている。これまでのうっぷんを晴らそうという思いや、全国旅行支援(全国旅行割)でお得に旅ができることも理由だろう。ならば、この機会を利用して、塩作りの現場を訪ねてみるのはどうだろう。塩をはじめ食材の背景を知れば、より一層興味や関心がわいてくるものだからだ。

日常的にお使いの塩がどこで、どのように作られているかなどについて、思いを巡らせたことがおありだろうか。日本各地には製塩所が600カ所以上存在している。見学大歓迎のところもあれば、非公開のところもあるが、今回は各都道府県で見学可能な先で、中でもユニークな製塩所を中心にご紹介することにしよう。ここに掲載していない製塩所でも見学可能なところもあるので、ぜひご自身の身近に製塩所がないかチェックしてみてほしい。汗にまみれて働く塩職人の姿や塩が生まれる瞬間は実に美しい。それを目の当たりにすれば、塩を用いた料理がまた一段とおいしく感じられるにちがいない。

主な製塩所の所在地と代表的な塩、その特徴を簡単に列挙してみた。

東洋炉材(北海道・洞爺湖町) カムイ・ミンタルの塩=有名フレンチシェフ御用達の濃厚なうまみ

駒嶺商店(青森・風間浦村) 津軽海峡の塩=甘味が強めだがバランスタイプで使いやすい

のだむら(岩手・野田村) 薪窯直煮製法のだ塩=鉄を感じさせ、酸味があり牛肉にはもってこい

男鹿工房(秋田・男鹿市) 男鹿半島の塩=細かいフレーク状で食感が楽しい、あと口さっぱり

さかたの塩(山形・酒田市) さかたの塩=まろやかでうまみのある優しい味わい

山田油業(宮城・石巻市) 伊達の旨塩=じゅわっと広がる濃厚なうまみとキレの良さ

会津山塩企業組合(福島・北塩原村) 会津山塩=ミネラル感が強く全体的に味が濃い

ミネラル工房(新潟・村上市) 白いダイヤ=潮の香り漂う日本海のニュアンスが残る魚向きの塩

ムライ(富山・黒部市) 黒部の塩=濃厚なうまみとまろやかな甘味があるこってりタイプ

揚げ浜塩田 角花家(石川・珠洲市) 能登のはま塩=濃厚なバターのような甘さとうま味で余韻が長い

越前塩(福井・越前町) 越前塩=適度なしょっぱさと心地よい苦味が癖になる

鹿塩温泉山塩館(長野・大鹿村) 山塩=力強いしょっぱさといくつもの味が重なる複雑な味わい