愛媛県立宇和島水産高校の実習で作られた缶詰の試作品

地域発展にも貢献する高校生たち

僕が「高校生缶詰」に注目するようになったのは、愛媛県立宇和島水産高校(宇和島市)の水産食品科で、特別授業を行ったのがきっかけだった。

同科は、缶詰やレトルトパウチなどの食品を製造しながら、衛生管理や生鮮物流なども学ぶ学科だ。とはいえ、生徒全員が料理好きというわけではない。包丁を握ったことがない生徒や、菜箸を扱う手つきが怪しい生徒だってたくさんいる。

そんな彼らが、地元で獲れる魚介類や野菜を使って商品開発し、地域の発展に貢献しようと頑張っていたのだ。もちろん他の高校の生徒たちだって同様で、卒業後は食品会社に就職したり、さらなる勉強のために海洋系や食品系、調理系の学校へ進学したり。いずれも、日本のこれからの食を担う大事な人材なのであります。

今年は、福井県立若狭高校(小浜市)の生徒たちが造った「サバ醤油(しょうゆ)味付け缶詰」が宇宙に飛び立つというニュースもあった。自分たちが造ったサバ缶を「いつか宇宙食にしよう」と、何と13年もかけて、先輩から後輩へと受け継がれてきた一大プロジェクト。それがついに今年、宇宙航空研究開発機構(JAXA)で宇宙日本食に認証され、国際宇宙ステーション内で食べられたのだ。

高校生の造る缶詰には、実に夢がたくさん詰まっているのであります。チャンスがあったら、ぜひ一度、手にしてみてくださいな。

(缶詰博士 黒川勇人)

黒川勇人
1966年福島市生まれ。東洋大学文学部卒。卒業後は証券会社、出版社などを経験。2004年、幼い頃から好きだった缶詰の魅力を〈缶詰ブログ〉で発信開始。以来、缶詰界の第一人者として日本はもちろん世界50カ国の缶詰もリサーチ。公益社団法人・日本缶詰びん詰レトルト食品協会公認。

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