富山県立滑川高校の生徒が考案した「富山越中いわし ブラックらーめん味」(180グラム)

味付けも缶のデザインも「ブラック」

LOCAL FISH CANグランプリで最優秀賞に輝いたのは、富山県立滑川(なめりかわ)高校(滑川市)の「富山越中いわし ブラックらーめん味」だった。富山はホタルイカの名産地だが、漁獲する際に同じ網にイワシ(マイワシ)も大量に入ってくる。イワシはホタルイカより安価で、地元に加工場がないこともあり、これまでは海に戻していた。しかし、イワシも立派な海洋資源。せっかく網に掛かったのなら「無駄なくおいしく食べるべきだ」と考案された1缶なのであります。

味付けを決めるために、12種類もの試作を重ね、最後に残ったのが富山名物「ブラックラーメン」味。おかげで、この缶詰が富山のものだと分かりやすいし、ブラックを基調にした缶のデザインにも説得力がある。

大分県立海洋科学高校の生徒が考案した「Spicy BUDAI」(スパイシーブダイ、210グラム)

優秀賞を受賞したのは、大分県立海洋科学高校(臼杵市)の「Spicy BUDAI」(スパイシーブダイ)。大分県近海にはカジメと呼ばれる海藻が生い茂り、魚介類の産卵や成育の場(藻場)になっている。しかし、近年はカジメを食べるブダイが増え、生態系が変わりつつあるという。

ブダイは食用にもなるけれど、臭みがあるため、これまで捨てられていた。漁業者から見れば、役に立たない海の厄介者なのだ。そこで海洋科学高校の生徒たちの出番となり、缶詰化にトライした。

漁業者に協力してもらい、まずは漁獲後に血抜き(活け締め)をし、臭みを除去。さらにゴマ油やトウガラシでマスキングし、匂いがまったく気にならない缶詰に仕上げた。ちょっと中華風でピリ辛味だ。

同じ例では、兵庫県立香住高校(香美町)の生徒が、養殖のカキやアサリを食べ尽くすナルトビエイを使った「ナルトビエイのあんかけ」を造っている(特別賞受賞)。こちらも、海の厄介者を資源に変えた素晴らしい取り組みだった。

松本第一高校の生徒考案の「信州サーモンの和風アヒージョ」(90グラム)

魚介類の缶詰を造るのは、なにも海辺の学校に限った話じゃない。“海なし県”である長野県の松本第一高校(松本市)は、同県で養殖されているブランド魚・信州サーモンを使って「信州サーモンの和風アヒージョ」を製造した。

なぜアヒージョという調理法を選んだのか聞いてみたら、驚くような答えが返ってきた。いわく、身肉が繊細なので、加熱するなら低温の油でじっくり火を通した方が柔らかさを保てる。だから油で煮る調理法、アヒージョにした、というのだ。プロの料理人のような発想であります。

地元産のブナシメジとマッシュルームを入れ、長野らしさをアピールし、ダシを加えることで、和の風味に仕上げている工夫もいい。

他にもクオリティーの高い缶詰が続々と登場していたが、その詳細や受賞結果などはLOCAL FISH CANグランプリの公式サイト(https://localfishcan.jp)を参照していただきたい。

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地域発展にも貢献する高校生たち