Men's Fashion

春を先取り、ベージュのタイで華やかに 優しさ演出

女がときめく男の装い

ファッションディレクター 清水久美子

2023.3.4

抜け感があるベージュのタイ。優しそう……かつ、できそうな魅力を印象付けます。タイ(各)1万6500円、シャツ2万4200円/すべてポール・スチュアート(ポール・スチュアート青山本店)

冬の凍え切った季節も過ぎ、春の予感がする今日このごろ。啓蟄(けいちつ)とはよくいったもの。寒さなどでなんとなくこもりがちな気分も抜け、女性たちの恋心も再び盛り上がってくるタイミングです。




そんなこんなで東京・丸の内は行幸通りのテラス席などは恋の釣り堀。特に、今季は特別な期待に胸が膨らみます。そう、彼女たちのお楽しみは久しぶりのメンズのジャケットスタイル。

リアル出社も増えた今、颯爽(さっそう)とした男性のジャケットスタイルの洪水はまさにお待ちかねの眼福。リモートワーク中のパーカにポロシャツなどのリラックス感も無論奥深くセクシーです。けれど基本的に女性は男性のジャケットスタイルに弱いもの。広い肩幅、ウエストにかけての直線的なライン、加えて胸筋のシルエットを思わせるVゾーンなどは、いかにも頼りがいのある印象でその姿にうっとりするものです。

“軽い色”のタイで…Vゾーンが柔らかに

そんな久しぶりの光景のさなか、女性の啓蟄気分をさらにつかむアイテムを取り入れるのは、潮目にさとい男性のマナーです。

「そうなんだよなあ、なんかアイデアある?」とは同じく春の出会いに期待するダーリンのセリフ。この時期の行幸通りはある意味男女のランウエー、タイドアップの機会も増えワクワクしているのが手にとるようにわかります。

そんな折おすすめなのが、柔らかい印象を与えるVゾーンの演出。冬の暗い色になれた目には、春っぽい軽い色は実に新鮮に見え、高アドバンテージ。まだまだ寒暖の差がある季節でもタイなら取り入れやすいというものです。

では、どんなタイの色が今時の女心をつかむかと言えば、答えは、そうベージュのタイ。イタリア男性がよく言うアズーロ(青)とマローネ(茶)。紺色と茶色は男性のセクシーさを際立たせる2大カラーです。そんな茶色の中でも特に抜け感と優しい印象を与えるベージュのタイは、肩の力の抜けた今時のジャケットと実に好バランス。ちょっとレトロな雰囲気もお洒落(しゃれ)慣れした感じで、「……いいかも」という、ときめきを女性に感じさせるカラーです。

「ふーん、よし一丁買うか!」とは速攻の決断力が魅力のダーリンのセリフ。早速にベージュのタイの海原へとダイブする気が満々です。けれど、オンタイムはもちろんのこと久々にナイトタイムのデート、イベントも盛り上がっていく昨今、オフシーンでも見栄えするタイドアップも視野に入れましょう。