炭水化物サンド、海外での反応はいかに

山崎製パンは海外にも事業を展開している。はたして日本の焼きそばパンは、海外でも販売されているのだろうか。同社広報担当者はこう語る。

「現在、焼きそばパンはベトナムのみ販売しています。ただ、購入されるのは日本人が中心で、現地の方には、パンと麺の組み合わせがなかなか受け入れられないようです。また、香港ではメンチカツを具材にしたパンは人気ですが、コロッケは他国も含めて今は販売していません。やはり、炭水化物と炭水化物の組み合わせはなかなか難しいようです」

日本の惣菜パン、コロッケサンド

そういえばコロッケも主原料はじゃがいも。これも炭水化物サンドの仲間ではないか! やはり、日本独特の「炭水化物on炭水化物」嗜好は海外目線ではなかなか珍しい嗜好なのではないだろうか。

なお、日本の総菜パンのなかでも「カレーパン」については、味などの違いがあるにしろ、どこの国でも一定の人気があるのだという。カレーはコメでもパンでもウエルカムということか。そういえば以前、カレーが余ったのでカレーパンを自作してみたのだが、最初は見た目でNGなそぶりを見せた仏人夫が一口食べて「おいしい!」と叫んで完食して以来、カレーの後の我が家の定番となっていることを思い出した。

筆者自作の余ったカレーでつくるカレーパン

炭水化物on炭水化物、日本人の食生活のそこらじゅうに!

ここまでみてくると、日本人の食生活において「炭水化物on炭水化物」は、パンに限らず身の回りに多く潜んでいることにも気づく。

例えば、「お好み焼きとコメ」。関西圏に縁がなく住んだこともない筆者としては「お好み焼きはがぜん、主食」と思っているのだが、、大阪に赴任経験がある東京育ちの当グルメクラブ編集長から、「ごはんとお好み焼きが同時に出てくる『お好み焼き定食』に最初は抵抗感があったが、帰任するころには当たり前のように注文していた。おなかもいっぱいになるしおいしいし、満足度は高い」と聞いた。

また、日本人にとって鉄板の組み合わせである「ギョーザとコメ」も、中国では見かけないらしい。日本に住む中国人の後輩にこの組み合わせについて聞いてみたところ、速攻でこう返信があった。「日本でギョーザとご飯を一緒に食べているのをみて驚きました! 中国では(小麦粉でできている)ギョーザもご飯も主食扱いですから、ギョーザをご飯と一緒には食べません!」と。

確かに言われてみればそのとおりだ。ラーメン店での「ラーメン・ギョーザ・半ライス定食」なんて、ダブルどころかトリプル炭水化物のとんでもない組み合わせではないか。

なぜ日本人は、こうも炭水化物on炭水化物を愛するのだろうか。これは筆者の推測の域を出ないが、本来日本食は「一汁三菜」「健康的」であるべきなかで、あえてタブーをおかしたくなるという人間のアンビバレントな感情によるものか。それとも、日本古来の文化・習慣に加えて海外由来のそれらを取り入れ、中和したりアレンジしたりして日本特有のものとしてきた日本人の思考の柔軟性によるものか。

とにもかくにも、異国での炭水化物サンドとの出会いをきっかけに、今まで気づかなかった日本人の摩訶(まか)不思議でユニークな嗜好を改めて見直すことができたのであった。

パリ在住ライター ユイじょり