バゲットとパスタで作った焼きそばパン

そういえばこんな炭水化物サンド、日本にもあるではないか!と、このとき筆者の頭をよぎったのが、「焼きそばパン」である。無性に故郷が懐かしくなったので、日ごろの「なければ作ればいいのよ」精神発動、パリに戻って早速作ってみることにした。

しかし、時はコロナ渦真っ最中。外出制限もあるので家にあるものでなんとかしなくてはならない。苦渋の決断で、パンはフランスが世界に誇るバゲット。日本風ソース焼きそばに使う麺は、パリ在住の友人が「海外在住者の常識」だと言って教えてくれた裏技、「重曹パスタ」(パスタを茹(ゆ)でる際に重曹を入れたお湯で茹でるとパスタが中華麺のようになるという技)で代用することにしよう。当地では、日本に売られているような焼きそば用の麺が入手しにくいため、この技が大変役立っている。

パスタを重曹と塩を入れたお湯で茹でているところ

ウスターソース、オイスターソース、しょうゆ、酒、みりん、はちみつを混ぜ合わせた特製ソースで焼きそばを作って半分に切ったバゲットにはさみ、上にマヨネーズ、青のり、べにしょうがなどをのせたら、なんちゃって焼きそばパンが完成した。

筆者オリジナルの焼きそばパン・イン・パリ

果たしてこの日本的炭水化物サンドは、仏人夫に受け入れられるのだろうか。「これが日本オリジナルのサンドイッチだ」と食卓に出してみた。夫は不思議そうな表情を見せ、焼きそばは箸で、パンはちぎって別々に食べていた……。

愛される焼きそばパン、そのルーツと進化形

日本における焼きそばパンの発祥を探ってみると、諸説ある中でも、東京都荒川区南千住にあった「野澤屋」が有力なようだ。残念ながらお店は2010年に閉店したそうだが、1950年代に焼きそばとコッペパンを販売していたところ、お客さんに「面倒だから挟んでほしい」と言われて売り出したのが焼きそばパン誕生のきっかけだったという。野澤屋の焼きそばパンは大ヒットし、その後東京中に一気に広まったといわれている 。

日本のパンメーカー最大手の山崎製パンからも、コッペパンに焼きそばを挟む定番タイプの「こだわりソースの焼きそばパン」が販売されている。また、同社が1984年から販売しているロングセラーブランド、具材を食パンで挟み四方をぴったりとくっつけた形が特徴の「ランチパック」。年間約4億個を生産する大人気ブランドだが、そのなかでも「パン×麺類」シリーズの商品を数多く展開している。

山崎製パンの広報担当者は言う。「特に今年4月に発売した日清食品の人気ブランド『日清焼そば U.F.O.』 とコラボした『ランチパック(ソース焼そば)日清焼そば U.F.O.監修』は、人気ブランドとのコラボということもあり、味わいの再現性の高さなど大変好評でした。また大学生との共同企画で2015年に地域限定発売した『ランチパック(釜玉うどん風)』も非常にユニークな具材ということで、驚かれた方も多かったです」

「ランチパック(ソース焼そば)日清焼そば U.F.O.監修」は、人気者同士のコラボ(提供:山崎製パン)

焼きそばに飽き足らず、なんとうどんも入れてしまったのか。ランチパックのWEBサイトをのぞいてみると、これまでに「スパゲティ」はもとより「ラーメン」や「焼きビーフン」など奇抜なものまで登場しており、見ているだけで面白い。サイトで筆者が調べた限り、今まで販売された麺類のランチパックは、少なくともなんと130種類以上!「パン×麺」はどこまで進化し続けるのだろうか。

ユニークさで反響の大きかった「ランチパック(釜玉うどん風)」(提供:山崎製パン)
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炭水化物サンド、海外での反応はいかに
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