豪快!貝がらで食べる天然本マグロ中落ち 東京・築地

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2021/11/8
これを目当てに訪れる人も多い名物料理「鮪中落ち」

市場が移転してもなお海鮮料理の人気店がひしめく築地。その築地で、24年間、おいしい魚料理、とくにマグロ料理を食べるならここ、 と周辺のオフィスワーカーから絶大な支持を得ている海鮮居酒屋が「Jige(ジゲ)築地店」だ。

築地を東西に走る大通り、新大橋通りから細い路地を入って少し歩くと「Jige(ジゲ)築地店」が見えてくる。目印は、「Jige」のJの字が「串」になっている看板。大通りの喧噪(けんそう)が遠くに聞こえるような落ち着いたエリアだ。

店内は1階と地下1階の2フロアで構成。木材とガラスを使った外観がシックな印象だ。地下は外側の階段から降りる造りとなっており、入り口前のあしらいが、和の落ち着いた雰囲気をかもしている。

地下は靴を脱ぐスタイルで、座イスとテーブル、カウンター席がある。

一方、1階はイスとテーブル、カウンター席となっており、席数は全部で60席。現在は、ソーシャルディスタンスを考慮し、席数をしぼっている。

少しダークな照明に、和モダンなインテリア。大人がくつろげる空間で、家族や友人だけではなく、大切な人のおもてなしにもぴったりだ。

「Jige」の1号店が誕生したのは東中野。鮮度抜群の鶏肉や魚介類などの素材のうま味をじっくり引き出す炭火焼きメニューが評判を呼び、たちまち人気店となった。

その後、築地に2号店をオープン。こちらでは、築地というロケーションを生かしてマグロ料理を新たな看板メニューとして登場させている。

「『シンプル イズ ベスト』がモットーなんです。市場が近いので、毎朝、仕入れ担当者が出向き、仲卸と直接交渉してその日一番おいしい素材を仕入れるようにしています。その素材をシンプルにお客さまに楽しんでいただきたいですね」と店長の治下真舞さん。名物のマグロ料理や鶏の炭火焼きだけでなく、旬の野菜や魚介をシンプルに生かしたメニューも人気だ。

マグロの中落ちは下処理して提供。漁師のようにハマグリですくって食べる趣向

この名物料理のために訪れる人も多いという「鮪(マグロ)中落ち」。天然本マグロの骨まわりについた身を、ハマグリの貝がらでそぎ取りながら食べるという、マグロ好きには夢のようなメニューだ。

マグロの産地は、その時々で一番おいしいところのものを厳選。取材時は鳥取・境港のものだ。

「これでも小さいほうなんですよ」と治下さん。このボリュームで5人分。2つの大皿いっぱいに広がる大きさに、登場すると歓声があがるという。

サイズだけでなく、もちろん味も一流だ。

「最初は、なかなか中落ちだけを譲ってはもらえなかったんです。20~30回、マグロの仲卸さんに通い詰めて、やっと売ってもらえるようになったんです。今では、『Jigeさん、いいものが出たよ』と向こうから連絡をもらえるくらいになりました」(治下さん)

市場で一番高値の、銀座の一流店が身の部分を仕入れたマグロの中落ちを分けてもらうこともあるのだそう。長年築き上げた信頼関係のたまものだ。

仕入れたマグロの中落ちはきちんと下処理してから、テーブルに提供される。ハマグリですくうのは漁師のやり方をまねたのだとか。安心して食べてもらうために一人ずつビニールの手袋も用意されている。

骨まわりの身は脂分の少ない赤身。大ぶりの貝がらで豪快にすくい、小皿にとって薬味と一緒に食べる。少しねっとりした身は、うま味の濃い味わいがたまらない。余った分はユッケやなめろうなどにアレンジしてもらえる。