老舗菓子店が大変身 食べられる容器や美容サロン併設

2021年末発売、「器ごと食べられる」新商品「桔梗信玄餅 極(きわみ)」

あなたは日本の伝統菓子がお好きだろうか?

ここでいう「伝統菓子」とは、江戸時代前後からある大福やみたらし団子ではない。もう少し後ながら、登場から約半世紀以上たつ、国産メーカーが生んだ銘菓のことだ。一定の年齢以上の人たちのあいだでは、すっかり浸透しているが、その味を知らない若い層にもアピールすべく、SNS(交流サイト)や新商品を通じて新たな挑戦を続けている。今回はそんな日本の銘菓を3つ紹介する。

桔梗屋信玄餅 極:もなかの容器食べて環境配慮

1つ目は山梨県を代表する伝統菓子「桔梗信玄餅(ききょうしんげんもち)」だ。甘みを抑えたもっちりやわらかい餅に、きなこと黒みつをかけて食べる。食べきりサイズでビニール製の風呂敷に包まれた姿も特徴的。1889年(明治22年)創業の桔梗屋(山梨県笛吹市)が1日12万個を製造し、販売している。

もともと「山梨県のお土産」といえばブドウやモモなど、季節が限定されるフルーツが主流だったところ、「通年で食べられる、山梨独自の商品を」と1968年(昭和43年)に作られたものだ。

筆者は東京出身だが、子どもの頃、夏休みには長野へ家族旅行に行くのが恒例で、道中のインターチェンジで買ってもらう桔梗信玄餅が大好きだった。今でもパッケージを見ると、夏の風景が鮮やかによみがえる。めいっぱい詰まったきなこや黒みつを飛び散らせながら、食べたことを思い出す。

発売から半世紀を経て再び脚光を浴びる

ところが昨年末、我々ファンにとって衝撃的(?)なニュースが飛び込んできた。2021年12月24日、新バージョン「桔梗信玄餅 極(きわみ)」が発売されたのだ。餅が入った「器ごと」食べられるように新開発された商品で、今まで何度となくこぼしてきたきなこも残さず食べ尽くせる。

容器は、壊れにくいよう独自のレシピで設計された「器の形をした最中(もなか)」だ。ありそうでなかった発想が面白い、環境に配慮する今の時代にもぴったり、と10社以上のメディアが取り上げ、地元で購入した客たちがツイッターで取り上げて大ヒットに至った。

発売直後から品薄が続き、社長の中丸純さんもまだ1個(!)しか食べられていないという。

「食べられる容器に、という発想は54年前の商品発売当初、お客様のファンレターからいただいたと先代の祖父や父に聞いていましたが、生産体制が整いやっと実現できました。ただ、20年以上前から賞味期限が近づいた桔梗信玄餅を社内で回収し『詰め放題』サービスで販売したり、食品廃棄を減らし肥料に替えて自社農場で活用したり、といったサステナブルな取り組みは長らく続けていることを、あらためてお伝えしたいです。『桔梗信玄餅 極』の商品名は、これで頂点を極めた、のではなく『さらなる高み、極みを目指す』という意味を込めました。弊社のより一層の進化を今後も見届けていただきたいです」(中丸さん)

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