関連グッズやウェブでファン層拡大

もともとは中高生向けでスタートしたのに、今では10代読者が1割を切るという状況にある。しかし、近年は雑誌本体以外の取り組みで若い世代にファンを増やしている。一例がグッズだ。印象の強いロゴを生かしたライセンス商品はアパレルや雑貨、アクセサリー、文具などの幅広い商品群にわたる。同人誌即売イベントのコミックマーケットにも物販ブースを出展した。三上編集長は「グッズの売り上げは金額面でそう大きくないが、若い読者との接点を広げるうえでは効果が大きい」と、イメージの浸透を期待する。

英会話本の「ムー公式 実践・超日常英会話」(学研プラス)

関連商品の企画にあたっては「ムー」らしさを生かす試みが目立つ。たとえば、英会話本の「ムー公式 実践・超日常英会話」(学研プラス)ではいかにも「ムー」らしいシチュエーションを設定している。「友人が異星人に誘拐されたので、警察と軍隊を呼んでください」「御社の社長はレプティリアンではないですか?」といった、現実には使う機会がなさそうな例文ばかりを盛り込んだ。三上編集長は「あえてキッチュなイメージを大事にしている」と、いじりやすい雑誌キャラクターの広がりを狙う。

雑誌の媒体資料では「業界単独トップの実績と信頼」とうたう。過去には「トワイライトゾーン」「UFOと宇宙」「MAYA(マヤ)」など、様々な競合雑誌が存在した。しかし、ほとんどは姿を消してしまい、主なところではおばけや妖怪、怪談の専門誌「怪と幽」(KADOKAWA)ぐらいしか残っていない。

「ムー的」という言い回しが通じるほどに、同誌のイメージは定着している。ぶれない編集方針がその根っこにある。「知名度の底上げにつながった」と三上編集長が評価する、様々なグッズやイベントの企画も「ムー」の一人勝ち状態を呼び込んだようだ。月ごとの浮き沈みはあれど、今は6万~7万部(刷り部数ペース)で安定していて、収益も黒字だという。

雑誌の市場が縮み、休刊が相次ぐ状況が続いているが、「ムー」は雑誌本体以外の居場所確保にも余念がない。公式ウェブサイト「ムーPLUS」を2015年に立ち上げ、20年からは個人や法人がコンテンツを発信、販売できるプラットフォーム「note」を足場に移した。有料課金サービスウェブマガジン「ムーCLUB」では過去の膨大なアーカイブ記事を掲載しているのに加え、読者交流の場も設けている。三上編集長は「コアな読者以外の、ちょっと興味がある程度のファン層を呼び込むうえで、オンライン媒体は欠かせない」という。

創刊40周年記念号の表紙

「ポスト真実」の時代を迎え、フェイクニュースがあふれる中、「ムー」は「読み手が自分なりのリテラシーで楽しんでもらえる雑誌」(三上編集長)という点で、独立峰の趣をさらに鮮明にしつつある。「世の中には一面的にとらえにくい事象が多い。『ムー』を疑り深く読んでいると、一種の免疫がつくかもしれない。物事を多面的に眺めるうえで、『ムー』的な視点はこれまで以上に意味を持つ」(三上編集長)

創刊から42年は男性なら大厄にあたる不吉な年だが、三上編集長は「気にしたこともない」。この先の編集方針を「ひたむきにあやしく」と語る声には、廃刊危機を乗り越え、多くの愛読者「ムー民」に支えられてオンリーワンの存在になった軌跡への自負がうかがえた。