2022/12/3

金の採掘を取り巻く環境 コロナで悪化

――新型コロナ感染拡大の期間ですね。パンデミックの影響はありましたか。

「非常によくない影響が出ていました。金とダイヤの採掘の過程をたどったのは20年の4~9月です。その当時、ブライトリングが使用する金の主要な採掘地域である中南米では、パンデミックによって貧困にあえいだり仕事を失ったりした人たちが、価格が上昇している金の鉱山に殺到して、違法な採掘が横行していました。多くの子供たちも労働に従事していました。とりわけひどい状態にあったのがアマゾン川流域です。そこで我々は、スイス・ベター・ゴールド・アソシエーションの基準を満たした小規模鉱山から採れる金のみを使おう、という結論にいたりました。環境への配慮、健全な労働環境、法定賃金が守られていることが保証されている金です」

高品質のラボグロウン・ダイヤを使い、環境への負荷削減や水の使用量低減につなげる

「ダイヤに関しては、結婚指輪に使うような大きなダイヤはトレーサビリティー(生産履歴の追跡)が容易なのですが、ケースの周囲を装飾する小粒のメレダイヤは、本来なら研磨のプロセスで廃棄される部分が使われることが多く、追跡が難しいのが実情です。そこで我々は研究機関が生産する、高いクオリティーのラボグロウン・ダイヤに注目しました。自然から少し手を引いて、人間が育んだ技術を利用することで、気候への負荷やダイヤ加工の際の水の使用量を減らせます。こうした複合的な利益を考えて、トレーサビリティーが可能なベター・ダイヤモンドの採用を決めました」

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