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不妊治療の保険適用拡大へ 最適な治療法選び重要に

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NIKKEI STYLE

体外受精や人工授精をはじめとした、不妊治療への保険適用が4月から本格的に始まります。高額な費用負担が軽減されることで少子化対策に資することが期待されます。ただ、より高度な生殖医療技術を使うオーダーメード型は保険の対象とはなりません。適切な治療を受けられるよう、選択の幅を確保することも重要になりそうです。

代表的な不妊治療には、医師が妊娠しやすい時期を指導する「タイミング法」、排卵の時期に合わせて精液を子宮内に注入する「人工授精」、卵子と精子を体外に取り出して受精させる「体外受精」の3つがあります。

これまでは不妊の原因を調べる検査の一部や排卵誘発剤による治療、そしてタイミング法が保険の対象となっていました。4月からは人工授精や体外受精が新たに保険適用となります。

人工授精の中でも、顕微鏡下で精子を直接卵子に注入する「顕微授精」や、男性側で精巣から手術によって精子を採取する「精巣内精子採取術」にも保険が使えることになり、それぞれ医療費を表す保険点数が定められました。男性の不妊治療の関連では、性機能改善薬「バイアグラ」の保険適用も決まりました。

不妊治療は患者の費用負担の重さが問題になっていました。野村総合研究所が2020年度に実施した調査によると、不妊治療の平均費用は人工授精で約3万円、体外受精で約50万円、精巣からの精子採取が約17万円などとなっています。患者の中には体外受精を何度も行ったものの成功せず、数百万円の出費になったケースもありました。

保険適用に伴って患者負担は原則3割になります。保険適用になれば1カ月の自己負担に上限を設ける高額療養費制度が使え、年収約370万~約770万円の場合は負担が月8万円程度で収まることになります。一方で、現行の不妊治療1回当たり30万円の助成制度は廃止の見通しです。

不妊治療の現場では、患者の年齢や状態に応じた技術が使われます。今回保険で認められた標準的な治療に加え、未成熟な卵子の培養や、成熟した精子の選抜に特殊な方法が用いられるなど、高度な技術を使うことも少なくありません。

こうしたオーダーメード型治療は今後、保険治療との併用が認められる「先進医療」として実施される可能性があります。しかし、先進医療として認められなければ、全額自己負担となるケースも出てきます。

不妊治療クリニックを運営する医療法人オーク会(大阪市)の田口早桐医師は「不妊の原因が明確な若いカップルの場合は、保険治療のメリットが大きい」といいます。そのうえで「年齢の高い人やその人のライフプランによっては、オーダーメード型の治療を必要とするケースも多い」として、患者のニーズに柔軟に対応していく考えです。

医療法人オーク会の田口早桐医師「多様なニーズにこたえる工夫が必要」

不妊治療は現在どのような形で行われており、4月からの保険適用の拡大に伴ってどう変わろうとしているのか。大阪市や東京都で不妊治療クリニックを展開する医療法人オーク会(大阪市)の田口早桐医師に聞きました。

――子供を望む人たちにとって、不妊治療に保険が本格適用されることの恩恵は大きいと考えますか。

「一部の患者さんにとっては恩恵が大きいといえます。特に若い年齢の方で、不妊の原因がはっきりしている場合には、不妊治療に保険が使えるメリットは非常に大きいと思います。こうしたケースでは、治療が今回保険適用となる標準的な治療法だけで対応できることが多いためです。一般に年齢が若いと体外受精などの成功率も高くなります」

「一方で年齢を重ねている方の場合は話はそう単純ではありません。また、若いうちに卵子を凍結保存して将来の妊娠に備えるなど、生殖補助医療のニーズは多様になっており、ケースによっては保険治療だけでは対応できにくい状況が想定されます」

――不妊治療の形態が以前とは違ってきているということでしょうか。

「結婚年齢が高くなっていること、それから不妊治療の技術自体が進歩していること、この2つのことから不妊治療の形態や位置づけが様変わりしています。治療手段は妊娠しやすい時期を指導する『タイミング法』、排卵の時期に合わせて精液を子宮内に注入する『人工授精』、卵子と精子を体外に取り出して受精させる『体外受精』の3つがあり、これを順を追って試していくというのが10~20年くらい前までの一般的なパターンでした」

「このように体外受精は他の方法でうまくいかなかった場合にやむなく行うという位置づけだったと思います。しかし近年は例えば40歳代で結婚されて、子供が2人欲しいという場合、自然妊娠ではなかなか難しいだろうと自分で判断されて、最初から体外受精を希望して来院されるケースもあります」

「体外受精を妊娠・出産のための手段としてライフプラン設計に活用しようという意識が強くなっているのです。体外受精の時期も、できるだけ若い時の方が有利なので、まず体外受精をして受精卵を凍結保存しておき、将来適切なタイミングで妊娠・出産したいという希望も増えています」

――不妊の原因が男性側にあるケースでも、過去とは治療の状況が変わってきていますか。

「積極的に検査や治療を受けようという男性が増えていると感じます。男性側の治療でも、無精子症の男性の精巣から手術で精子を採取して、顕微鏡の下で精子を直接卵子に注入する『顕微授精』に使えるようになるなど、治療の幅が広がっています」

――4月から始まる保険を使った治療だけではニーズに対応しにくい、というのはどのようなケースを指すのでしょうか。

「体外受精について説明すると、今回保険治療の対象にならなかった高度な技術がいくつかあります。成熟精子がヒアルロン酸に付着することを利用して選別する方法、あるいは培養中の受精卵の様子を内蔵カメラで観察するといった手法などです。いずれも妊娠・出産率を引き上げる効果があります」

「こうした高度な技術は先進医療として保険診療と併せて利用できるようになる方向ですが、認められる見通しがまだ立っていない技術もあります。現在の不妊治療は、患者さんの家族計画やライフプランにあわせた治療ができるよう十分にコンサルテーションを行ったうえで、治療手段を選んでもらうというオーダーメード型が増えています。保険治療だけでは対応できない部分が出てきます」

――治療の質が落ちるということになるのでしょうか。

「不妊治療を行う医療機関は新しい技術の開発・導入や、受精卵の培養などの作業を二重三重にチェックするといった管理・運営に多額のコストをかけています。保険適用によって治療費が抑えられれば、こうしたコストが十分に賄えず、限られた費用の中で事業の最適化を進めなければならなくなり、結果的に提供できる治療が限られたものになってくる恐れがあります」

「不妊治療クリニックによっては、保険診療とそうでないオーダーメード型の診療の両方に対応するため、担当する医師やフロアを別にするといったことを検討しているところもあると聞いています。医療現場では保険適用の拡大によるメリットを実現しつつ、多様な不妊治療のニーズにこたえていくための工夫がこれまで以上に求められるでしょう」

(編集委員 吉川和輝)

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