企業経営でダイバーシティ(多様性)の重要性が叫ばれて久しい。21年改定のコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)にも、中核人材における多様性の確保が盛り込まれた。だが女性登用ひとつとっても日本企業は欧米に後れをとる。なぜ取り組みが進まないのか。日本で働き、日本企業を見てきた外国人の女性トップ2人に聞いた。(以下、敬称略)
カップ「日本は性別役割に対する固定観念が保守的。『女性にはキャリアを積むか、結婚して子どもを産むかの二択しかない』と考えてしまうケースも多い。これが女性のキャリア選択に影響を及ぼし、管理職などで活躍する人が少なくなる要因だと感じます」
ドゥルーズ「性別役割に対する固定観念は世界的な問題でもありますよね。例えば物理で女性が好成績をとると『女性なのに』と驚かれる。夏休みに通販で子ども用プールを買おうと思ったら、コメント欄に『組み立てが苦手な女性でも簡単』との一言。あらゆる面での固定観念を変えていく必要があります」
カップ「パズルのピースを一つひとつ埋めるようにね」

ドゥルーズ「そうです。私は社内でも現場の変化が重要、と話しています。日興アセットでは社員が自主的に、サステナビリティーに関わる課題解決に向け活動するワーキンググループを立ち上げています。こうしたボトムアップの取り組みが大事です」
「日本企業はトップダウンは十分である一方、ボトムアップが足りないために、施策がうまく機能していないと感じます。世界最高水準の男性育休制度があるのに、取得者がなかなか増えないのもその表れではないでしょうか」
カップ「そうですね。企業に限らず多くの日本の組織の施策はトップダウン。リーダーが指示をすれば、魔法のようにすべてが実現すると思っているようです」