小中高とサッカーに明け暮れた。その経験は創業15年で東証1部に上場したアトラエの組織運営にも役立っている。

小2の頃から始めたサッカーですが、地元のクラブチームにも入り、4年生の時には6年生と一緒に試合に出たりしていました。中高も当然サッカー部で、性格的に攻めるのが好きなので常に攻撃のポジションでした。細かいことが苦手なのでキャプテンには向きませんが、とにかくサッカーという競技そのものが大好きだったのです。

組織にも野球型とサッカー型があると思いますが、私は会社を立ち上げる時、サッカー型のチームで戦いたいと思いました。野球はピッチャーやキャッチャーなどのポジションが決まっていて、選手は監督やコーチの指示を受けて動くので、レフトの人がキャッチャーフライを取りに行くことなどはありません。それと同じく野球型の組織は、経営層が戦略や戦術を練って采配を振るい、社員はその指示に従う管理統制型です。

一方、サッカーは選手それぞれのメインの役割は決まっていますが、固定ではありません。試合の中で動きながらお互いの状況を目で確認しあって、コミュニケーションを取りながら補い合っていく。気づいたらピッチの右側にいた人が左側を走っていることもあれば、守っていた人が攻めに転じたり、その逆もあり得ます。会社でいえば、経営者は大枠のビジョンは示すけれども、あとはメンバーそれぞれが有機的・自律的に動きながら判断していく。臨機応変の自律型組織です。

アトラエは、取締役以外は全員一般社員という極めてフラットな組織です。取締役も会社法で必要だから置いているだけで、当社の中ではヒエラルキーの上位ではなく、単なる「役割」に過ぎません。期待される役割を果たせなければほかの人に交代してもらうので、社内には昇進や出世争いという概念そのものがありません。メンバーはプロジェクトごとにチームを作り、一流のサッカー選手と同様にそれぞれが自立して考え、意思決定することが求められます。ある意味、究極のサッカー型組織と言えます。この組織のあり方が私たちの成長の原動力であり、アイデンティティーにもなっています。

思えば私がこういうふうに考える人間になったのは、桐朋学園という自主性を重んじる学校に12年間通ったこと、そして家庭からも自立心を求められ、あらゆることを自分自身の頭で考えるクセがついたこと。そしてサッカーをずっと続けてきたことと無縁ではないでしょうね。

後半では、上智大学時代の思い出や、インテリジェンス(現パーソルホールディングス)を経て起業に至った経緯、「世界中の人を魅了する会社を創る」というビジョンについてはお話します。

(ライター 石臥薫子)

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