発売延期やペットボトル入りも登場

事情は大手も同じだ。サントリーは、輸入量を昨年比約6割減と大幅に減らす。価格も、代表的な銘柄「ジョルジュ デュブッフ ボジョレー ヌーヴォー 2022 セレクション ド デュブッフ」(750ミリリットル入り)の税込み参考価格を昨年比約4割高の3850円に設定している。

「ジョルジュ デュブッフ ボジョレー ヌーヴォー 2022 セレクション ド デュブッフ」

各社とも、売上高の減少幅を何とか最小限に食い止めようと必死だ。サッポロビールは販売する5種類のうちの1種類「ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボー ヴィエイユ・ヴィーニュ 2022」(オープン価格)を、解禁日ではなく年明けの1月に発売する、と発表した。「昨今の航空賃の急激な上昇などによるコストを極力抑える目的で、通常の航空便ではなく船便を使用するため」と説明している。

ヴィエイユ・ヴィーニュとはフランス語で古木を意味する。古木のブドウから造られるワインは、味わいに凝縮感や奥行きが出ることが多い。ヴィエイユ・ヴィーニュのワインなら、ボージョレ・ヌーボーの通常の販売時期を逸しても、普段からワインを飲んでいる愛好家を中心に売れるのではないか、というヨミも働いているようだ。

キリンホールディングス傘下のメルシャンは、「発売アイテムを2品目に集約」し、容器もガラス瓶ではなくペットボトルを使用した「アルベール・ビショー ボージョレ・ヌーヴォー ペットボトル 2022」(オープン価格)を発売すると発表。大きさも通常の750ミリリットルに加え、その半分のサイズ(375ミリリットル入り)も用意する。

「アルベール・ビショー ボージョレ・ヌーヴォー ペットボトル 2022」

メルシャンによると、ペットボトル入り商品はガラス瓶入りに比べて重さが30%軽い。その分、輸送コストを削減できる。業界関係者や海外の専門メディアによると、欧州ではそもそもワイン用のガラス瓶が手に入りにくい状況で、ガラス瓶の価格も高騰している、という。ガラス瓶の主要生産国の1つが今、戦争状態にあるウクライナだからだ。輸入業者の中には小さな樽(たる)に詰めた「樽入りヌーボー」を発売するところもある。

メルシャンは「ペットボトルはガラス瓶に比べて輸送時に二酸化炭素の排出量を30%削減でき、手軽にリサイクルできる」としており、地球環境に優しいことなどを消費者にアピールしながら、売り上げを確保する方針だ。

それでも、業界全体でどれくらい売上高の減少を抑えられるかは不透明だ。そもそも、日本のボージョレ・ヌーボー市場は2004年をピークに年々、売上高は右肩下がりの状況が続いている。ボージョレ・ヌーボーの日本での苦戦ぶりを報じた英国の専門誌「ドリンクス・ビジネス」は、「日本市場の回復は難しいかもしれない」と悲観的な見通しを示している。

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「解禁パーティー」減り、歴史的使命終えた?