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ボージョレ・ヌーボー商戦に異状あり 紛争や円安背景

エンジョイ・ワイン(55)

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NIKKEI STYLE

11月の第3木曜日に販売解禁となるフランス産新酒「ボージョレ・ヌーボー」の今年の国内商戦は、これまでとは大きく様変わりしそうだ。手ごろさが売りだった値段はロシアとウクライナとの紛争や円相場の急落などで大幅に上昇。これに伴い販売数量も大きく落ち込む見通しだ。関係者の間には「来年以降も回復は期待薄」と早くも悲観論が広がる。日本のワイン市場をけん引してきたボージョレ・ヌーボーは果たしてどうなるのか――。

ワインショップ「ウィルトスワイン」(東京・渋谷)は毎年秋口になると、その年に販売予定のボージョレ・ヌーボーのラインアップを店のホームページやSNS(交流サイト)にアップし、個人客からの予約を受け付けてきた。ワインの専門店だけに種類も豊富で、昨年も10種類前後の銘柄をリストアップしていた。ところが今年は、いくら待てどもその情報がアップされない。

気になって、オーナーの中尾有さんに問い合わせると、「今年は1種類しか売らないので、お知らせするのをやめました」。しかも、その1種類も1本4800円(税別)と、昨年に比べて約1500円の値上げ。高級ワイン並みの値段だ。「今年はボージョレ・ヌーボーの輸入自体をやめたという輸入業者もいるし、輸入はされても仕入れ値が高く、こちらの判断で仕入れを見送ったケースもある」と中尾さんは明かす。

発売延期やペットボトル入りも登場

事情は大手も同じだ。サントリーは、輸入量を昨年比約6割減と大幅に減らす。価格も、代表的な銘柄「ジョルジュ デュブッフ ボジョレー ヌーヴォー 2022 セレクション ド デュブッフ」(750ミリリットル入り)の税込み参考価格を昨年比約4割高の3850円に設定している。

各社とも、売上高の減少幅を何とか最小限に食い止めようと必死だ。サッポロビールは販売する5種類のうちの1種類「ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボー ヴィエイユ・ヴィーニュ 2022」(オープン価格)を、解禁日ではなく年明けの1月に発売する、と発表した。「昨今の航空賃の急激な上昇などによるコストを極力抑える目的で、通常の航空便ではなく船便を使用するため」と説明している。

ヴィエイユ・ヴィーニュとはフランス語で古木を意味する。古木のブドウから造られるワインは、味わいに凝縮感や奥行きが出ることが多い。ヴィエイユ・ヴィーニュのワインなら、ボージョレ・ヌーボーの通常の販売時期を逸しても、普段からワインを飲んでいる愛好家を中心に売れるのではないか、というヨミも働いているようだ。

キリンホールディングス傘下のメルシャンは、「発売アイテムを2品目に集約」し、容器もガラス瓶ではなくペットボトルを使用した「アルベール・ビショー ボージョレ・ヌーヴォー ペットボトル 2022」(オープン価格)を発売すると発表。大きさも通常の750ミリリットルに加え、その半分のサイズ(375ミリリットル入り)も用意する。

メルシャンによると、ペットボトル入り商品はガラス瓶入りに比べて重さが30%軽い。その分、輸送コストを削減できる。業界関係者や海外の専門メディアによると、欧州ではそもそもワイン用のガラス瓶が手に入りにくい状況で、ガラス瓶の価格も高騰している、という。ガラス瓶の主要生産国の1つが今、戦争状態にあるウクライナだからだ。輸入業者の中には小さな樽(たる)に詰めた「樽入りヌーボー」を発売するところもある。

メルシャンは「ペットボトルはガラス瓶に比べて輸送時に二酸化炭素の排出量を30%削減でき、手軽にリサイクルできる」としており、地球環境に優しいことなどを消費者にアピールしながら、売り上げを確保する方針だ。

それでも、業界全体でどれくらい売上高の減少を抑えられるかは不透明だ。そもそも、日本のボージョレ・ヌーボー市場は2004年をピークに年々、売上高は右肩下がりの状況が続いている。ボージョレ・ヌーボーの日本での苦戦ぶりを報じた英国の専門誌「ドリンクス・ビジネス」は、「日本市場の回復は難しいかもしれない」と悲観的な見通しを示している。

市場縮小を冷静にとらえる向きもある。ある業界関係者は「むしろ、これまでが異常だった。ボージョレ・ヌーボー市場の縮小は日本のワイン市場が成熟しつつある証しではないか」と見る。

「解禁パーティー」減り、歴史的使命終えた?

ボージョレ・ヌーボーは、カルボニック・マセレーションと呼ぶ独特の醸造方法に由来するバナナやキルシュのような香りが特徴で、その特徴ゆえに人によって好みが大きく分かれるワインだ。ワイン消費国としては目立たない日本が、ことボージョレ・ヌーボーに限っては世界最大の輸入国であり続けているのは、「初物」好きの日本人の習性に加え、小売業界がバレンタインデーやハロウィーンのように消費喚起キャンペーンを張って盛り上げてきたことが大きい。

そのおかげもあって日本のワイン市場は徐々に拡大してきたが、皮肉にも、ワイン文化のすそ野が広がり、多くの日本人にとってワインが特別なお酒でなくなるにつれて、消費者の間でボージョレ・ヌーボーへの関心は徐々に薄れていった。かつては、解禁日の真夜中になると、各地のホテルやレストランで派手な「解禁パーティー」が開かれていたが、そういったお祭りイベントは最近めっきりと減っている。ボージョレ・ヌーボーは、もはや歴史的な使命を終えたとも言える。

そう感じているのは日本人だけではなさそうだ。別の業界関係者によると、ボージョレワインのプロモーション機関「ボジョレーワイン委員会」の代表団が今夏、来日した際、日本の現状を知り、強い危機感を覚えたという。同委員会が9月に日本語の公式ホームページを立ち上げたのも、その危機感の現れと見られる。同委員会日本事務局が「ボジョレー・ヌーヴォーだけではない、ボジョレーワインの魅力をより身近に感じていただけるコンテンツとなっております」とアピールしていることからも、ヌーボー以外のボージョレワインを今後、日本に積極的に売り込もうとする意図が見える。

ボージョレといえば日本ではボージョレ・ヌーボーのイメージが強いが、世界的な銘醸地ブルゴーニュ地方の南隣に位置するボージョレ地方は近年、ブルゴーニュの影響を受けるなどして、ワインの品質が顕著に向上。ブルゴーニュワインと似た味わいや品質のワインも増えている。また、ボージョレには世界的人気が高まる「ナチュラルワイン」の生産者が多い。それらのワインは、ボージョレ・ヌーボーより値は張るが、飲むとボージョレのイメージがきっと大きく変わるはず。ぜひ試してみてほしいワインだ。

(ライター 猪瀬聖)

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