家族の話し合い大切に 家事でけんかをしない 

ここまでみてきたように、家事の効率化や省力化の工夫は人それぞれ。上手に工夫したい場合、何かヒントはあるだろうか。

「家事に正解・不正解はない」。こう指摘するのは、家事代行サービス、ベアーズ(東京・中央)の副社長で、日本の暮らし方研究家の高橋ゆきさん。高橋さんは家事の効率化や省力化を工夫する最初のステップとして、家事の話題も取り入れながら自分たちにとっての「心地よい暮らし方」について、家族で話し合うことをすすめる。

「『おうちの中を常にきれいにしよう』とは言わない」と高橋さん。「どこか1カ所だけでも、家族みんなで共同して守ったり、きれいにしたりするところをつくると意外に片付けが進む」と助言する

「こうしなければならない」と思うと家事はおっくうで嫌なものになりがち。そうではなく、「我が家はこうありたいよね」というところから、何かの家事の頻度を見極めたり、担当を決めたりしようという提案だ。その方が、担ってくれた相手に対する感謝の気持ちも生まれやすいとか。

同時に、話し合いによって「どこか1カ所だけでも、家族が皆で共同して守ったり、きれいにしたりするところをつくると、意外に片付けが進む」という。「その1カ所は、お風呂場でも玄関でもいいかもしれません」

次に、2つ目のステップとして「家電でもいいし、人やサービスでもいい。頼れるものは何でも頼ろう」と助言する。「1人で抱え込まないことが大事。相談してみたり人に頼ったりしていい。家族内でも友人でも業者でも、頼れる先はいろいろあると思います」と高橋さんは話す。

今回の調査でも「頼れるものは頼る」「頼めることは人に頼んでみる!」などの声が挙がった。後者は30代の女性で「どうしても1人で回らないときは、失礼覚悟で身近な人にヘルプをお願いすると意外と引き受けてくれる人がいる」とか。「お礼は後から何かの形でお返しすればオッケー??」と頼みっぱなしにしない心配りも忘れない。一方、「お金さえ払えばプロを雇える」と分かったことが「気持ちの余裕につながった」という人もいた。

高橋さんが挙げる、家事での工夫の3つ目のステップは「季節ごと、もしくは半年に1回でもいいので、いるもの・いらないものを分けてモノを増やさない」こと。「モノが多いと整理整頓や掃除がしにくくなって、日ごろの衛生状態を確保するのが大変になる」というのが、その理由だ。不用品処分の際、使い古したバスタオルなら小さく切ってぞうきん代わりに使う手も。そんな転用も効率化の一助になる。

自身も子育てをしながら、両立ライフを送ってきた高橋さんは「がんばらなくていい。極論すれば、家事は得意なことだけやろうといった気構えでいい」と語り、苦手な家事は、家電を使うなり人に頼むなり「どうすればこなせるか」を考えようと説く。その方が結果的には家族で充実した時間を過ごしやすくなるという。

「一番大切なのは、自分たちがどういう暮らし方をしたいかということ。『誰々が汚している』『誰々は片づけない』など責め合いをすることではない」。高橋さんはこう強調し、「家事でけんかをしないで」と呼びかける。

子連れでの外出、ビニール袋が役立つことも

調査では育児関係のヒントも寄せられた。小学4年生を育てる40代の女性は、「朝食のメニュー表をテーブルに置いておく」。実はこれは「子どもがなかなか朝ご飯を食べない」という困りごとの解決策として考えた。「5種類ぐらいのメニューから毎朝選んでもらうよう工夫した。簡単に作れるメニューにしておけば手間もかからず、(子どもが)自分で選ぶことで食べてもらえるようになった」

一方、2歳から7歳まで3人の子どもを育てる40代の女性は「小さなビニール袋をいつも持ち歩く」。「子どもと一緒に歩いていると、石ころ、花、虫をとにかく拾う」。それらをとりあえず入れるために自分で考えた工夫だ。

前述の高橋さんは「百均」で売っているコルクボードやホワイトボードを取り入れることも提案する。スマホなどデジタルツールもいいが、それらに「○○が冷蔵庫に入っているから食べてね」といったメッセージを貼ったり書いたりすることで、自身の不在時でも家族と「愛情のあるコミュニケーション」を取りやすくなるとすすめる。

「心地よい暮らし方ができれば、家族のウェルビーイング(心身の健康や幸福)も高まる」と高橋さん。まずは心を楽にして、「格好をつけない」「継続できないことはしない」といった基準で取捨選択していくと、我が家に合う方法を見つけやすいとアドバイスする。

(佐々木玲子)