トリノの「カフェ・アル・ビチェリン」(写真提供 脇本道明氏)

ビチェリンは、コーヒーとミルク、チョコレートとシロップを大きなグラスに入れた18世紀の飲み物がベースになっており、トリノの方言でミニグラスを意味する。イタリア統一の立役者の一人でイタリア首相を務めた19世紀の政治家カブールは、トリノの本店の屋外テーブル席に座って時をすごしたと伝えられる。日本の「ビチェリンGINZA SIX店」には、カブールの肖像画が飾られている。新型コロナウイルスの影響でイタリアへの渡航がかんたんにかなわないいま、トリノ本店の雰囲気を再現した大理石の丸テーブルで、同国の歴史に思いをはせながらビチェリンを味わうことができる。

ゆったりとした気分でチョコレートドリンクを

ビチェリンの次は、家庭で手軽にチョコレートドリンクを楽しめる商品(日本でもネット通販で購入可能)をご紹介しよう。19世紀後半創業、イタリア中部の美食の街パルマにある「バンキーニ」による「修道院のチョコラータカルダ」。若いころによくごちそうになった故郷ピエモンテ州の修道院のホットチョコレートを創業者が忘れられず、記憶をたどって再現したという。

「バンキーニ」のホットチョコレート「修道院のチョコラータカルダ」(100g入り)。オンラインショップにて2160円で販売

「修道院のチョコラータカルダ」の原材料は、ベネズエラ産のカカオのほかに、イタリア北部ピエモンテ州ランゲ産ヘーゼルナッツ、アーモンド、さらに体を温める働きがあるシナモンやショウガなども入っている。まさに「ホットチョコレート」向けにつくられているといえるのではないか。

バニラパウダーやオレンジエッセンスオイルの香りを失わないために、面倒でも小鍋に牛乳といっしょに入れて温め、沸騰するまえに火から下ろす。電子レンジの200Wでもつくれるのだが、美食の地方都市パルマの「チョコラータカルダ」は、ゆったりとした気分でかき混ぜてつくるのがふさわしい。

パルマにある現在の「バンキーニ」の店舗(写真提供 デメテル)

実は、チョコレートドリンク用のチョコラータカルダではなく、パンなどに塗る「チョコレートスプレッド」を使ってチョコレートドリンクをつくることもできる。

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チョコレートスプレッドと牛乳でお手軽に