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歴史つまったチョコレートドリンク 寒い日にもホッと

イタリア美味の裏側(12) イタリア食文化文筆・翻訳家 中村浩子

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NIKKEI STYLE

古代ローマ時代の聖職者「ヴァレンティーノ」の名に由来するとされる2月14日のバレンタインデーにちなみ、今回はイタリアのチョコレートドリンクを紹介したい。

もともとチョコレートの原料であるカカオはスペイン人によってヨーロッパの宮廷にもたらされ、18世紀初めにブルジョワジーにまで広がったと言われる。ヨーロッパ各地でさまざまな工夫がほどこされ、チョコレートの製造技術が進んでいたイタリア北部トリノでは、寒さの厳しい冬にホットチョコレートドリンクを飲む習慣が根づいた。

そのトリノで18世紀に創業された「カフェ・アル・ビチェリン」のチョコレートドリンク「ビチェリン」は、今や日本でも東京や名古屋、大阪、福岡で展開するカフェ「ビチェリン」で楽しめるようになった。

ビチェリンは、上から生クリーム、チョコレート、エスプレッソ(コーヒー)の三層からなる。トリノ本店のオーナーお勧めは、「まずはかき混ぜずにそのままで」飲むこと。

お勧めどおりに飲むと、五分立ての冷たい生クリームがまず口になめらかに流れこむ。そのあとにチョコレート、最後にエスプレッソの濃く苦い味が舌をひき締める。下に行くほど、濃く、温かくなる。日本の店舗でも、チョコレートはトリノの本店からとり寄せたカカオパウダーを使い、本店で受けつがれるレシピを忠実に守っている。同じくトリノから運びこんだ銅鍋で、ゆっくりと焦げつかないように火を入れていくという。本店から定期的に味のチェックも受けている。

ビチェリンは、コーヒーとミルク、チョコレートとシロップを大きなグラスに入れた18世紀の飲み物がベースになっており、トリノの方言でミニグラスを意味する。イタリア統一の立役者の一人でイタリア首相を務めた19世紀の政治家カブールは、トリノの本店の屋外テーブル席に座って時をすごしたと伝えられる。日本の「ビチェリンGINZA SIX店」には、カブールの肖像画が飾られている。新型コロナウイルスの影響でイタリアへの渡航がかんたんにかなわないいま、トリノ本店の雰囲気を再現した大理石の丸テーブルで、同国の歴史に思いをはせながらビチェリンを味わうことができる。

ゆったりとした気分でチョコレートドリンクを

ビチェリンの次は、家庭で手軽にチョコレートドリンクを楽しめる商品(日本でもネット通販で購入可能)をご紹介しよう。19世紀後半創業、イタリア中部の美食の街パルマにある「バンキーニ」による「修道院のチョコラータカルダ」。若いころによくごちそうになった故郷ピエモンテ州の修道院のホットチョコレートを創業者が忘れられず、記憶をたどって再現したという。

「修道院のチョコラータカルダ」の原材料は、ベネズエラ産のカカオのほかに、イタリア北部ピエモンテ州ランゲ産ヘーゼルナッツ、アーモンド、さらに体を温める働きがあるシナモンやショウガなども入っている。まさに「ホットチョコレート」向けにつくられているといえるのではないか。

バニラパウダーやオレンジエッセンスオイルの香りを失わないために、面倒でも小鍋に牛乳といっしょに入れて温め、沸騰するまえに火から下ろす。電子レンジの200Wでもつくれるのだが、美食の地方都市パルマの「チョコラータカルダ」は、ゆったりとした気分でかき混ぜてつくるのがふさわしい。

実は、チョコレートドリンク用のチョコラータカルダではなく、パンなどに塗る「チョコレートスプレッド」を使ってチョコレートドリンクをつくることもできる。

チョコレートスプレッドと牛乳でお手軽に

独占輸入元である合同会社「デメテル」(東京都豊島区)の代表、輿石淳子さんに教えていただいた。チョコレートスプレッドを大さじ1~1.5杯分、熱い牛乳60㏄に溶かすだけ。牛乳は電子レンジで温めればよいので、お手軽につくれる。バンキーニのチョコレートスプレッドは、ヘーゼルナッツを、カカオ豆、砂糖とともに、風味を失わないよう石臼で12時間かけてひいて使っている。ビーガン(完全菜食主義者)向けにもなる高品質なチョコレートスプレッドが、ヘーゼルナッツの香りも豊かに立ちのぼるチョコレートドリンクに早変わりする。

ところで、素朴な疑問だが、チョコレートドリンクとココアはどうちがうのだろう。輿石さんによると、「原料であるカカオ豆にはカカオバターが含まれています。チョコレートドリンクはカカオバターを含んだままで、ココアはそれをとり除いています。『修道院のチョコラータカルダ』の場合は、すべての原材料で味を調えた『修道院のチョコレート』をまずつくり、砕いて粉にしています。カカオ55%のチョコレートです」

修道院のチョコラータカルダができたのは、修道院で疲れたり落ちこんだりした仲間を元気づけるために、院内の薬草園のいろいろなものが取り入れられていったからである。ヨーロッパにおけるチョコレートの歴史は、アメリカ大陸に到達したスペイン人が現地からカカオを持ち帰り、ドリンクにしたことから始まった。スペインから美食の国イタリアに伝わり、チョコレート文化が花開いた。イタリアのチョコレートドリンクには、さまざまな歴史がつまっている。

中村 浩子
イタリア食文化文筆・翻訳家。東京外国語大学イタリア語学科卒。イタリアの新聞社『ラ・レプブリカ』極東支局長助手をへて、文筆・翻訳へ。著書に『イタリア薬膳ごはん』(共著)『「イタリア郷土料理」美味紀行』、訳書に『イタリア料理大全 厨房の学とよい食の術』(共訳)『スローフード・バイブル』。

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