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女性では飲酒量が増えてもアルツハイマー病リスク上昇なし

さらに著者らは、飲酒量とアルツハイマー病リスクの関係を検討するために、用量-反応関係を調べました。対象にしたのは、研究に参加した人たちを飲酒量に基づいて3群以上に分類し、分析していた6件の研究です。

横軸を1週間あたりの飲酒量とし、縦軸を非飲酒者と比較したアルツハイマー病リスクとして、6件の研究のデータをプロットしたところ、飲酒量とアルツハイマー病リスクの間には非線形の関係(直線的な関係ではなく、複雑な曲線パターンが描かれる関係)が認められました。

全体では、飲酒量が1週間に12.7ドリンク[注2]より少なければ、アルツハイマー病リスクは非飲酒者より低く、週に12.7ドリンクより多くなるにつれてアルツハイマー病リスクは上昇する可能性は示唆されましたが、どの飲酒量においても、アルツハイマー病リスクの上昇または低下は有意ではありませんでした。

次に、男女を分けて同様に分析しました。男性では、非飲酒者と比較すると、週に5.1ドリンクまでは、飲酒量が増えるにつれてアルツハイマー病リスクが低下する傾向が見られましたが、統計学的に有意な差は見られませんでした。週に5.1ドリンクを超えるとリスクは上昇に転じ、週におおよそ12ドリンクを超えると、非飲酒者よりもリスクが高くなる可能性が示唆されました。さらに、週に14.8ドリンク以降は、飲酒量の増加に伴うアルツハイマー病リスク上昇が有意になりました。推定されたアルツハイマー病リスクは、週に15ドリンク(週にビールの350mL缶11本弱)で非飲酒者の2.12倍になりました。

女性の場合は、飲酒量が週に9.9ドリンクになるまではアルツハイマー病リスクが低下していき、それ以降は、リスクはほぼ一定から緩やかに上昇に転じていましたが、16.9ドリンク(週にビールの350mL缶12本程度)に至るまでは、非飲酒者と比較したアルツハイマー病リスクの低下は有意でした。今回分析対象となった女性においては、飲酒量がさらに増加しても、男性のような有意なリスク上昇は認められませんでした。

今回の研究では、飲酒量とアルツハイマー病リスクの間には、線形ではなく非線形の関係があり、ある程度までの飲酒は保護的に働く可能性があること、アルツハイマー病と飲酒の関係は性別によって異なることが示されました。しかし、飲酒がアルツハイマー病リスクに及ぼす影響に性差がある理由は不明です。著者らは、より厳格な設計の研究を行って、今回得られた結果を確認する必要があると述べています。

[注2]1ドリンクは純アルコール10g。2ドリンクはビール500mL(アルコール度数5%)、ウイスキーダブル(60mL、アルコール度数43%)などに相当する。12ドリンクはビール500mL缶を週に6本、あるいはウイスキーダブルを週に6杯飲んだ場合に相当。

[日経Gooday2022年6月15日付記事を再構成]

大西淳子
医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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