エリートもぶち当たる「英語初級の壁」を克服する方法  サリー先生の英語術(下)

Hello everyone! 英語講師の神林サリーです。日本で生まれて育った日本人はネーティブにはなれませんよね。でもね、バイリンガル(2言語話者)にはなれるのです。わたくしの講座のコンセプトは「あなたをバイリンガルにいたします」。かんたんに英語をマスターできる学習法をお教えします。

「書いて話せる!サリー先生の英語術」の連載16回目です。前回は「何が何でも初級の壁を破る!」と意気込む社会人が直面する英語の壁についてお伝えしました。特にメンタル問題・忙しい問題の2つに分けてご説明し、解決法もご紹介しました。メンタル問題には完璧主義、「自分にはできない」という潜在意識、幼少期や学生時代のトラウマ的経験がありましたね。また忙しい問題は「英語は勉強」のイメージ、英語の優先順位が低いために先延ばしにする点についてお話ししました。

今回も初級の壁を破り、中級・上級へと進むために社会人が当たる壁とそれに対する解決方法を、よくあるパターンのケーススタディーとしてご紹介いたします。ある特定の個人ではなく、典型的なパターンをデフォルメしてお送りいたします。

みんなコンプレックスに悩んでいる

ケーススタディ 外資系の理系男子Kさん

Kさんは高学歴エリートです。大学院の博士課程まで修了し、外資系の会社で専門知識を使ってお仕事をしていました。ただ、問題は英語でした。「英語が学生時代から苦手で『理系は英語をやらないで済む』と思っていたのですが、社会人になってそれは大きな誤解だということがわかりました」と言いました。

就職した会社は米国系の会社でした。最初は上司が日本人でクライアントも日本の会社の日本人でしたので、なんとか英語を使わなくても済んでいました。ただ、周りは帰国子女や留学帰りの人ばかりで「自分だけ英語ができない」というコンプレックスに何年も苦しい思いをしていました。しかし、それでもノラリクラリと英語から逃げていました。

そんなある日、「これ以上逃げられない!」と思う出来事が起きました。人事部の人に呼び出されて「TOEIC600点を超えないと、これ以上昇格できない」と言われてしまったのです。しかも「ただ点数を取ってくれ」というのではなく「これから出張で海外のクライアントとのミーティングに出てもらわないといけないから、その最低ラインの目安が600点なだけだ」と言われたそうです。

30歳を目前に崖の上に立たされた気がしたといい、貧血で目の前が実際に真っ暗になってしまったそう。そこでわたくしのところにご相談に来たわけです。

カウンセリングとレベルチェックをしますと、いろいろな壁を発見しました。まずメンタル問題がありました。「英語は勉強」という受験時代のイメージそのままで、苦手/嫌だ/逃げたいといった心の声がありました。そのため「英語をやらなきゃ」と思うと単語集からやろうと思うらしく、その本も持ってきてくれました。しかし毎日忙しいため、「やらなきゃ」という焦りだけで実際は何もできていませんでした。

また、プライドも高くて「英語ができない自分は恥ずかしい」「間違えたくない」「完璧な文を言いたい」という典型的な完璧主義もありました。しかしですね、レベルチェックの結果、英語のレベルは実はそんなに悪くなかったのです。ゼロ~初級ではなく初級の上、旅行で使えるくらいはありました。Kさん自身は「全く話せません」とご自分の英語力を否定されるのですが、そんなことはありませんでした。

このように日本人の学習者の場合、本人のイメージと実際のレベルのギャップがあるのはよくあることです。Kさんは受験勉強を頑張ったので難しい単語を知っていましたし、文法も基礎を割とわかっていましたので英語力はご本人が思うほど決して低くなかったのです。ただ、頭でいろいろ考えてしまいスピーキングのスピードが遅いので、反射神経を鍛える必要がありました。

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「過去は過去、今は今」覚悟決めて挑戦を
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