
三寒四温のこの時期、体の芯から温まる料理は格別なおいしさだ。新型コロナウイルス感染拡大前までは大勢で鍋や鉄板焼きなども楽しめたものだが、最近ではなかなかグループでの食事は誘いにくくなってきており、気がついたら冬場のアツアツメニューから遠ざかっているという人も少なくないのでは? 今回は1人でも楽しめるアツアツメニューをご紹介。1人しゃぶしゃぶや、南部鉄器で提供されるアツアツのスープ付きパスタなど、1人飯でも冬場のアツアツ!ジュージュー!のライブ感を満喫しよう。
豪華なしゃぶしゃぶをランチから1人でもぜいたくに!
まずは2019年、JR渋谷駅直結の複合施設「渋谷スクランブルスクエア」12階にオープンした「しゃぶしゃぶ つかだ」。全席で1人1鍋のしゃぶしゃぶ・すき焼きを提供する同店は、居酒屋「塚田農場」などを運営するエー・ピーホールディングスが、近年拡大する1人飯需要に対応するため開発した新業態。コロナの影響でますますそのニーズが高まり、現在は1人客はもちろん、若者カップルのデートなどにも利用されている。

店内はオープンキッチンで、カウンター席がメイン(テーブル席は3卓のみ)。席ごとに1人前の鍋コンロが設置されている店なので、もともと店内の換気がとても良い。さらにカウンター席には飛沫防止パネルも付いている。目の前のキッチンでは注文ごとに肉を機械でスライスする風景なども見られる。
さっそくランチで一番人気のしゃぶしゃぶ「A4黒毛和牛ブリスケと豚肉 ゆめの大地 肩ロース」(2200円)を注文。すぐに鍋が設置され、ポン酢とゴマだれ、薬味のネギ、白米(十六穀米も選べる)などが運ばれてきた。
驚くのはこんもりと盛られた野菜のボリューム。シュンギクや丹波シメジ、クレソン、オカヒジキ、ターサイ、三陸産のワカメ、江戸野菜のシントリナ(ちりめんハクサイ)、赤や黄色のスイスチャードなど10種類も盛られており、家庭の食卓では見られないようなこだわり食材も入っていて心躍る。しゃぶしゃぶしただしを自分で注いで作るスープも付く。

きれいにサシの入った黒毛和牛と豚の肩ロースは立体的に盛られており、見ているだけでもうっとりするほど美しい。野菜と肉をしゃぶしゃぶして口に含むと、豚肉が驚くほど甘い。牛肉はうま味濃厚。スライス肉が薄すぎず、厚すぎず、絶妙な厚さなのもポイントで、肉1枚で野菜を挟んでひと口でほおばると、ほどよい肉汁と食べ応え。ポン酢は市販のものより軟らかい味で、素材の上品なうま味が際立つ。すべて計算し尽くされたおいしさで感動する。
店長の松元裕史さんによると「A4・A5クラスの黒毛和牛のブリスケという部位は脂と赤身のバランスに優れ、味わい深く食べ応えのある肉質。だしにくぐらせてもうま味が残り、ほどよい肉の食感が楽しめることを意識した厚みにスライスし、また肉の温度はマイナス5℃のチルドで徹底管理しています」と自信をうかがわせる。
ランチのセットは4種(2000~3000円)で、肉や野菜だけを追加オーダーもできる。さらに選べる小鉢や甘味が付き、ご飯を麺に変えられる昼のコース(4000~8500円)もあり、こちらには松阪牛や神戸牛などもラインアップ。一方、夜は8種(3800~5300円)をいろいろな肉の組み合わせで用意している。
2月24日からは健康志向の強い若い女性を意識して、新メニューの「春野菜と豆乳出汁しゃぶしゃぶセット」(ランチセット2400円、ディナーコース4800円)を昼も夜も提供スタート。ウルイ、ツボミナ、アシタバ、クレソンなどの春野菜と豚肉を、木の芽を浮かべた豆乳だしでいただく。「少し苦みのある春野菜とマイルドな豆乳がよく合います」と松元さん。シメはチーズリゾットなので、ワインなどとも合いそうだ。
大人の空間で楽しむ自分のためのしゃぶしゃぶ鍋。仕事がうまくいった時の自分ごほうびや、大きな仕事に備えてスタミナ飯で気合を入れたい時などに特におすすめだ。