南部鉄器でいただく三陸食材がきらめく生パスタ

次は南部鉄器で味わう2度おいしいパスタをご紹介。東京の東急東横線・学芸大学駅から商店街を3分ほど歩いたところにあるカフェ風店内の「赤いパスタファーム」(東京・目黒)は、宮城県石巻市産のタラコなど、三陸の食材をふんだんに使った生パスタ専門店。メニュー表を見ると、北海道・留萌産100%の大変希少な小麦のパスタ「ルルロッソ」を使った生パスタを使用していると書いてある。
さらに店名にも由来する「赤い食材」として、石巻産のタラコ、赤エビ、ズワイガニ、農家直送のトマトを使用食材として紹介している。中でもタラコは、石巻で震災復興を果たしたタラコ専門の老舗、湊水産が、ひと腹ひと腹、手で熟成具合を確かめながら、タラコの粒を潰さないようにやさしく漬け返していく「手返し」という創業以来の製法で仕上げたものだという。これら「30以上のこだわりの生産者の情熱をパスタにのせてお客様に伝える」ことをミッションとしている店だ。
さっそく同店のシグネチャーメニュー「10種具材の石巻たらこ2スパゲッティ」(1180円)(2は2乗の表記)を注文。10種というだけあり、もはやパスタが見えないほど石巻タラコ、竹鶏ファーム(宮城県白石市)の温泉卵、トビコ、ノリ、三陸ワカメ、オオバ、ミョウガなどがたっぷりと盛られている。

そして気になるのが黒い器。熱々に温められた岩手県特産の南部鉄器に鉄瓶がセットされて、りんとしたたたずまいで提供されるのだ。店長の寺本貴さんによると、「まずは具材を絡めてパスタそのもののおいしさをご堪能ください。後半は和風だしをかけて、 『味変』しながらお楽しみください」とのこと。
食べてみると、ヘルシーな具材が多いので和風パスタといった感じで、オリジナル麺のもちもちとした食感がたまらない。タラコの濃厚なうま味と滋味深いパスタの味わいが絶品。これだけでも十分においしいのだが、さらに和風だしをかけると体の芯から温まり、かなり癒やされる。

もう一つ、南部鉄器のアツアツパスタとして見逃せないのは「三陸チョッピーノ・アラビアータ」(1280円)。チョッピーノとは米サンフランシスコで食されるイタリア系米国料理の海鮮スープ。こちらも器はアツアツだが、トマトスープがかけられた状態で提供される。大ぶりのカキ、魚(取材時はカツオ、ブリのカマ)、アサリ、ムール貝、エビ、ワタリガニなど、三陸の魚介をたっぷりとぜいたくに使用。辛さは、普通、激辛、絶望の3段階があり、普通のものでもピリ辛なので、食べ進めるにつれてじんわりと体が温まってくる。
常時パスタだけで約20種類そろえ、そのうちアツアツの南部鉄器で供されるのは5種。パスタはすべて中盛り180グラム(無料)、大盛り240グラム(プラス300円)にできるほか、同社の系列の食パン専門店「考えた人すごいわ」の人気食パン「魂仕込」(2分の1枚)が無料で付くといううれしいサービスもある。この甘めの食パンと「三陸チョッピーノ・アラビアータ」のトマトソースの相性が絶妙だった。
夜は三陸産の生ガキが年中食べられ、カルパッチョ、アヒージョなどのつまみや、クラフトビール、ワインなどもラインアップしている。1人飯はもちろん、1人飲みにもお薦めだ。