コロナ禍で働き方が一変した今は、仕事のムダを省く絶好のチャンス。働き方の専門家に、職場における“しなくていいこと”と、スムーズにやめるためのポイントを教わりました。

ワークスタイル&組織開発専門家。作家。「組織変革Lab」主宰。2022年度DX白書有識者委員。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。『職場の問題地図』(技術評論社)など著書多数。
テレワークの普及を筆頭に、コロナ禍以降の働き方は大きく変化した。それに伴い、「仕事における“しなくていいこと”も増えた」と話すのは、ワークスタイル研究が専門の沢渡あまねさん。「書類のデジタル化で印刷や押印、郵送が不要になったり、電話や対面のやり取りがチャットになったり…。単にオンラインにするだけでなく、もとの業務の必要性を見直す企業が増えています」。
こうした状況は、今までなんとなく続けてきた非効率なやり方を変えるチャンスでもある。
「今は場所や時間にとらわれない柔軟な働き方で成果を出すことが、企業にも求められる時代。社員にとっては、声を上げやすい状況と言えます。とはいえ、その仕事がなくなることへの危機感や変化への抵抗感を持つ人も。『ムダをなくせば、これだけメリットがある』とポジティブな未来を見せることで、環境をアップデートしやすくなります」

1「誰かに頼るのは甘えだという考え方」 はしなくていい!
周りに助けを求めるのもスキルの1つ
「ひとりで解決できる人が評価される」というのは過去の価値観。「むしろ、ひとりで抱え込むと個人に知識や権限が集中してしまい、チームとして成果を出しにくくなるデメリットがある。困ったときには周囲にサポートを求め、状況を共有できる『ヘルプシーキング』のスキルがこれからの時代は求められます」。


2「会議では周りの意見に合わせる」 はしなくていい!
現場のリアルな声を伝えよう
意見や提案は遠慮せずにアピールを。「現場のリアルな声を会社や上司にフィードバックすることも社員の責任と考えて。ただし、単なる現状報告で済ませるのではなく、改善策とセットにして提案を。自分の提案によって組織がどうポジティブに変化するか具体的に伝えることで、受け入れてもらいやすくなります」。

3「多忙な上司に気を使って話しかけない」 はしなくていい!
ちょっとした報告でミスが防げる
ミスを防ぐには、日頃から上司との接点を増やし、問題を共有することが重要。「誰かの失敗談は、組織にとっては、やり方を改善するためのヒントでもある。報告の際は、自分が考える再発防止のアイデアも一緒に伝えると◎。誰かが積極的に発信することで風通しがよくなり、発言しやすいチームをつくれます」。
