答えと解説

正解は、(1)中性脂肪(3)HDLコレステロール です。

写真はイメージ=PIXTA

お酒が好きな人の多くは、健康診断の結果にある「γ-GTP」の数値を気にしているのではないでしょうか。γ-GTPは肝機能の指標として使われ、アルコールに敏感に反応するので、普段からよくお酒を飲む人は値が高くなります。

健康診断の結果でほかに気になるものとしては、血糖、血圧、中性脂肪、コレステロールなど、生活習慣病のリスクに関わる数値があります。糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病とアルコールとの関係について、肝臓専門医の浅部伸一さんに聞いてみました。

「まず糖尿病ですが、お酒は直接的には血糖値をあまり上げません。だからといって、血糖値が高めの人はいくらでも飲んでいいのかというと、そうではありません。長期にわたって飲み過ぎの状態が続くと、肝臓と膵臓(すいぞう)がダメージを受け、その結果、インスリンの分泌が低下したり、インスリンの効きが悪くなったりして、血糖値が上がってしまうのです」(浅部さん)

健康診断の結果、糖尿病でなくとも、その予備群の疑いありと指摘されたら、一度専門医を受診して、インスリンの分泌状態などを調べたほうがいい、とのことです。

続いて、血圧についてはどうでしょうか。

「お酒を飲むと、一時的に血圧は下がりますが、翌朝は上昇します。起床後1~2時間の血圧が高い『早朝高血圧』は、心筋梗塞や脳卒中などの脳心血管系の疾患のリスクが高いとされ、特に注意しなくてはいけません。血圧が高くてお酒を飲む人は自分で1日のうち時間帯を変えて血圧を測ってみてください。また、中年以降で高血圧の方は、動脈硬化を防ぐためにも血圧を下げる薬(降圧薬)を処方してもらうという方法もあります」(浅部さん)

イカの塩辛など、塩分の多いつまみは血圧を上げてしまう(写真はイメージ=PIXTA)

また、酒のつまみは、イカの塩辛や漬物など、塩分が多めのものも人気。塩分を多くとると血圧を上げてしまうので注意しましょう。

そして、脂質異常症について。脂質異常症には、血液中の中性脂肪が多いタイプ、LDL(悪玉)コレステロールが多いタイプ、そしてHDL(善玉)コレステロールが少ないタイプなどがあります。

「お酒の影響を受けやすいのは、中性脂肪とHDLコレステロールです。飲み過ぎると中性脂肪の数値は上がります。一方、適度な飲酒はHDLコレステロールを増やす効果があるのではないかといわれています。しかし、その効果には個人差があると考えられ、HDLコレステロールのためにどんどん飲みましょうとはいえません。飲み過ぎれば、中性脂肪がたまり、肥満や、そのほかの病気につながりますので注意しましょう」(浅部さん)

以前は、LDLコレステロールが「悪玉コレステロール」として動脈硬化に関わるとされていたのに対し、中性脂肪はさほど危険視されていませんでした。しかし最近では、中性脂肪が高いことも様々な病気のリスクになることが報告されています。健康診断の結果を注意して見てみましょう。

この記事は、「健康診断の結果が悪い人が酒を飲み続けるとどうなる?」 (葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト)を基に作成しました。

[日経Gooday2022年9月12日付記事を再構成]

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