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写真はイメージ=PIXTA

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人事の仕組みは結局のところ好き嫌いだと言われます。では、誰の好き嫌いなのか、というと、それはもちろん社長です。今いる会社で何を目指すべきか、あるいは転職先の会社で何を頑張ればよいのかを知りたければ、まず、社長の経歴を確認してみましょう。

「昇給」を理解できない経営者は変なのか

「平康(ひらやす)さん、昇給ってなんですか?」

ある会社で人事改革の相談を受けている際に、社長に突然そう質問されました。

一瞬、質問の意図がわからなかったので、「毎年の人事評価を踏まえて、翌年の月給を増やす仕組みのことを指すことが多いのですが、なにか疑問でも?」

そうお答えしたところ、さらに不思議そうに問い直されました。

「よくわからないんですが、なぜ人事評価を踏まえて月給を増やす必要があるんでしょう? たとえば業務を委託している税理士に対して、去年しっかり決算を完了させてくれたから、顧問料を増やします、なんてことはしないですよね。なぜ従業員の給与を増やす必要があるんですか?」

そうおっしゃる社長は、とぼけたりしているのではなく、本当に昇給という仕組みがわからない、という様子でした。

「たとえば以前活躍されていた会社では、昇給はなかったんでしょうか」

「それが、私はフリーランスとして働き始めて、その後創業しているので、報酬はもらったことはあっても、給与をもらったことはないんですよ。昇給って普通なんですか」

「普通……ではありますが、けれどもあらためてその意味を考えてみてもよいかもですね」

そう答えたうえで、昇給という仕組みについて、メリットとデメリットを丁寧にお伝えしていきました。

皆さんもご存じのように、昇給のメリットは、習熟や成長、あるいは長期勤続に報いる仕組みとして用いることで、それらの行動を促しやすくなることです。

一方でデメリットは、昇給が当たり前になることによる、刺激としてのインセンティブ効果が薄れてしまったり、生活の前提となってしまうことで会社の利益を圧迫したりすることです。

この会社での人事改革の目的は、当初は業績に応じたインセンティブの仕組みをつくることでした。しかし上記の説明を踏まえ、優秀な社員には長く勤めてほしいことや、自分で能力を高め成長し続けてほしいというメッセージを発信したいということなどから、限定的ではありますが、昇給の仕組みも導入することになりました。

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