倒産確率も隠さない星野リゾート 内定者に薦める2冊

星野リゾートで人事を担当している鈴木さん
人気企業・注目企業が新人教育で使ったり、新入社員に推薦したりしている書籍と、各社の人材育成戦略を取り上げるシリーズ「社会人1年目の課題図書」。第11回は星野リゾートです。

1914年軽井沢で開業した温泉旅館に始まり、いまでは国内外で高級リゾートホテルや都市型観光ホテル、スキー場などを幅広く運営する星野リゾート。星野佳路代表は、破綻した施設を次々と再生させた経営手腕や巧みなブランド戦略で知られ、「リゾート業界の革命児」の異名を持つ。コロナ禍で観光業界は大打撃を受けたが、星野リゾートは将来の成長を見据え、2022年度は過去最多となる700人の新卒採用に踏み切った。

コロナ禍で試された変化対応力

人事グループの鈴木麻里江さんによると、同社には30冊を超える推薦図書がある。星野代表が経営学の専門家による書籍をフル活用する「教科書通りの経営」を標榜していることもあり、マーケティングやリーダーシップなどの古典的名著を「社員間の共通言語」として使っている。

一方、内定者に薦めているのは『LIFE SHIFT(ライフシフト) 100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社)と『頭がよくなる「図解思考」の技術』(KADOKAWA/中経出版)だ。2冊とも2017年から推薦しているという。

『LIFE SHIFT』は英国の経営学者、リンダ・グラットン氏と経済学者、アンドリュー・スコット氏による共著で、2016年の刊行直後からのロングセラーだ。80歳程度の平均寿命を前提に、<教育><仕事><引退>の3段階で考えられてきた従来の人生設計を見直し、100歳まで生きる時代の新たな生き方、働き方を提唱する。

『LIFE SHIFT(ライフシフト) 100年時代の人生戦略』
著:リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット
出版:東洋経済新報社
誰もが100年生きうる時代をどう生き抜くかを、働き方、学び方、結婚、子育てなどさまざまな観点から論じ、日本をはじめ世界中で話題になった。著者は共にロンドン・ビジネススクールの教授。リンダ・グラットン氏は世界で最も権威ある経営思想家ランキング「Thinkers50」で2003年以降、毎回ランク入りを果たしている。アンドリュー・スコット氏は高齢化社会、財政政策などを専門とし、様々な国の政府の政策アドバイザーを務める。10月下旬に続編が出版される予定。

「私たちは採用活動の段階から、『あなたは自分のキャリア=人生をどのようにデザインし、どうグリップしていきたいですか』と問いかけています。会社としては、主体的に人生を築いていこうという意思のある人にこそ来てほしいですし、そういう人に選ばれる企業でありたい。そんな私たちの視点や考え方とこの本の内容がとてもマッチしているというのが推薦の理由です」

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