「飾りじゃない」増える女性社外取締役 新風吹き込む

経営会議に取締役会、視察……平日は予定でびっしり

女性の社外取締役をおく企業が増えている。東証1部上場企業では、2社に1社が社外出身の女性を役員に起用。自らの知見を生かしたいと社外取締役に積極的にチャレンジする女性も出てきている。一方で「数合わせ」「お飾り」との見方も依然として残る。実情はどうか。社外取締役を務める女性らの日常を追った。

パーソルホールディングスとイオンモールの社外取締役を務める榎本知佐さんの一週間は、予定でびっしりだ。月曜午前はイオンモールの経営会議の資料確認、午後はパーソルの監査等委員会に出席し、夜は女性社外取締役のイベントに登壇。火曜は朝からパーソル取締役会の事前説明で、午後はイオンモールの経営会議――。「月1回の取締役会で報酬がもらえていいね、と言われることもあるが、実際はもっと稼働が多い」。榎本さんはそう話す。

もとはリクルート出身で、退職後、複数の企業で広報責任者などを務めてきた。2014年に東京電力に執行役員として入社。発電所の所長に地元への情報発信の方法を助言したり、社外の有識者の意見を社長に伝えたりと、社外取締役の役割に近い業務を担当した。その経験をもとに今はフリーの立場で社外取締役を引き受けている。

現在務める2社の取締役会はそれぞれ年間13回と16回だが、議題などを個別にレクチャーされる事前説明会が取締役会前に1~3時間ある。また指名・報酬委員会、監査等委員会などにも委員として年10回以上参加。経営会議への参加を求められるケースもある。

会議資料に目を通したり、質問ができるように不明点を詰めたりする時間も必要だ。企業から送付される日報メールや株価週報、メディア掲載記事などに目を通すことも日課としており、毎日両社の仕事に何かしら関わっている。

経験や知見を生かして企業にアドバイスできる喜び

それでも榎本さんは「経験や知見を生かして企業にアドバイスできることに喜びを感じる」と社外取締役の魅力を語る。企業統治やSDGs(持続可能な開発目標)など様々な企業の事例を読み解くことで、自らの成長も感じるという。

女性ならではの視点も生きる。役員を担うイオンモールの顧客は女性が多いが、管理職は男性中心。店舗に視察に赴き、店舗作りやサービス開発に女性目線が必要であることや、女性が議論に加わることの必要性を訴えている。「社外役員の意見だから、と真剣に耳を傾けてくれる雰囲気もある」。あえて社外取締役という立場で参加するメリットを感じている。

医療コンサルティング企業メディヴァの創業者、大石佳能子さんも「上場企業のガバナンスやコンプライアンスに触れられることは、企業経営者として非常に勉強になる」と、社外取締役のやりがいを語る。

次のページ
需要の高まり受け、自らチャレンジ