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答えと解説

正解は、(2)肝臓がん(3)胃がん(5)子宮頸がん です。

「がんが感染によって起こる」ということは、一昔前であれば信じがたい話だったでしょう。しかし現在は、「感染」と発症の間に因果関係があることが分かっているがんがいくつかあります。主要ながんの中でよく知られているのが、肝臓がん、胃がん、子宮頸がんの3つです。それぞれ、B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルス、ヘリコバクター・ピロリ菌、ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で発症します。

いずれの菌やウイルスも、感染したからといって必ずがんになるわけではありません。しかし、がんのリスクを高めることは「確実」と評価されていて、例えば、肝臓がんの約8割はB型またはC型肝炎ウイルス感染者から発生するという報告[注1]があります。

B型・C型肝炎ウイルスの主な感染経路は血液で、B型肝炎ウイルスは性行為を介しても感染します。出産時の母子感染、輸血や血液製剤の使用などによる感染が考えられますが、中高年世代では自身に身に覚えがなくても、過去に受けた医療行為などによって知らない間に感染している可能性があるので、調べておきたいところです。

肝炎ウイルス検査は、自治体の検診や保健所などで受けることができ、陽性であれば、さらに詳しい検査のために医療機関を受診する必要があります。「ウイルス性肝炎の治療は大きく進歩しており、肝炎ウイルスに感染していたとしても、適切な治療を受ければ、肝臓がんになるリスクはかなり下げられます。しかし、検診で陽性が確認されても、医療機関を受診する人が少ないという現状があり、肝臓がんの予防では目下、陽性者の医療機関受診をいかに促すかが課題となっています」と、国立がん研究センターがん対策研究所予防研究部部長の井上真奈美氏は話します。

写真はイメージ=123RF

胃がんのリスクを高めるピロリ菌は、高齢者ほど感染率が高く、若い世代にいくほど感染率が減少しています。ただし、「40~50代の中高年世代はまだ4割程度の人が感染していると考えられます。一度は感染の有無を調べておくといいでしょう」(井上氏)。ピロリ菌に感染していた場合には、除菌治療や定期的な胃がん検診を受けることが推奨されています。

一方、子宮頸がんなどの原因となるHPVの主な感染経路は性交渉で、性交経験のある女性のほとんどが一生に一度は感染するといわれています。HPVは、感染してもほとんどは自然に消滅する一方で、一部は持続的に感染して炎症を繰り返し、前がん病変を引き起こしたのちに、がんに進展する可能性があります。

子宮頸がんはほかのがんと異なり、20代後半という若い年代から増え始め、40代でピークを迎えます。前がん病変や初期の子宮頸がんでは特に症状は見られないため、定期的に検診を受けて早期発見、治療につなげることが大切です。また、小学校6年生から高校1年生に相当する女子を対象に、HPVワクチンが国の定期接種として導入されています。

生活習慣にも目を向けて、リスクを4割減らそう

感染との因果関係が明らかなこれらのがんでは、感染が大きなリスクとなることは間違いありません。しかし、「生活習慣にも目を向ける必要があります」と、井上氏は話します。「喫煙はもちろんのこと、肝臓がんでは飲酒や肥満もリスクとなることが『確実』で、胃がんでは食塩や塩蔵食品の過剰摂取がリスクとなることが『ほぼ確実』とされています」(井上氏)。

国立がん研究センターなどが提示している、科学的根拠が明らかな「日本人のためのがん予防法」は下図の通り。そこで挙げられている6つの要素とは、「喫煙」「飲酒」「食事」「身体活動」「体格」「感染」の6つ。このうち「感染」以外の5つの生活習慣について、以下のような行動をすべて実践した場合、全く実践しないか1つだけ実践した場合に比べて、がんになるリスクが男性で43%、女性で37%低下するという推計[注2]が示されています。感染のチェックと併せて、ぜひ身近なところから実践してみてください。

[注1]Ishiguro S, et al. Eur J Cancer Prev. 2009 Feb;18(1):26-32.

[注2]Sasazuki S, et al. Prev Med. 2012; 54(2):112-6.

この記事は、「『がんのリスク』は酒、たばこ、感染に対処するだけで大幅に減る!」(田村知子=ライター)を基に作成しました。

[日経Gooday2022年9月20日付記事を再構成]

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