世界自然保護基金専門ディレクターの小西雅子さん「科学的根拠に基づき説得」

温暖化対策に関する世論形成や政策づくりに、非政府組織(NGO)はどのように関与してきたのでしょうか。代表的な国際NGOである世界自然保護基金(WWF)の日本拠点で環境・エネルギー分野を担当する専門ディレクターの小西雅子さんに聞きました。

――小西さんは第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)に参加するそうですね。現地ではどんな仕事をするのですか。

小西雅子 WWFジャパン 環境・エネルギー担当ディレクター

「WWFでは世界100カ国の拠点のうち主要40カ国、総勢で約150人のスタッフが英グラスゴーに集まります。COP26の会場近くに活動拠点を設け、各国の拠点から派遣された職員が、勤務地の国がどんな事情を抱えているのか、譲れないポイントは何かなどについて互いに情報を交換します。そして政府間交渉の状況をみながら勤務地の政府代表に情報を提供し、合意可能なポイントを探る手助けをします。開催地では様々なイベントが予定されています。イベントを安全に盛り上げたり、広報活動に従事したりするスタッフもいます」

――見どころや争点を教えてください。

「COP26の本来の議題は温暖化ガスを削減するための国際協力の仕組みをどう決めるのかです。国ごとに立場が大きく異なるので、協議は複雑な経過をたどりそうです」

「11月1~2日のワールド・リーダーズ・サミットで参加国の首脳が温暖化ガスの削減目標などを説明する見込みです。目標の高さや、先進国であれば資金援助額の多寡は要注目です。ここで各国の進捗状況や今後の意気込みを比較できます。パリ協定では国ごとに温暖化ガスの削減目標を掲げ、目標を達成するための政策の導入が義務づけられました。削減目標は5年ごとに掲げ、しかも5年ごとに改善する仕組みを取り入れました」

「温暖化ガスをどのように削減するかは各国が決めることであり、国連は内政干渉にあたりかねないことには本来は触れません。ただ、パリ協定の国別削減目標は、数値目標だけでなく、どのように実現するかの具体的な政策や対応策を提出することになっています。そのためCOP26の議長国である英国のジョンソン首相は、温暖化ガス排出量の多い石炭火力発電について『先進国は2030年、途上国は40年までに廃止』を求めるなど4項目の重点課題を掲げました。日本を含めた各国の対応に注目が集まっています」

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