一番人気の「里芋と牛すじのポテトサラダ」(748円)。サトイモというチョイスが渋い

お通しのひたし豆を食べ終わる頃、つまみが到着した。白レバーは前評判通り、つややかで刺し身のような食感。器に敷かれていたオオバで包んで食べると味変になって2度おいしい。サトイモと牛すじのポテトサラダは上に揚げた温泉卵、そして紫ジャガイモ(シャドークイーン)の細切りを揚げたものがトッピングされていた。温泉卵が入ると、20代向けのこってり系つまみに見えるが、サトイモのひんやりしたねっとり感が、黄身を絡めても少しもくどさを感じさせず、良い意味で想像を裏切る味になっていた。

日本酒は「ぐい呑み」(385円/495円)、「グラス」(935円/1100円)、「片口」(1650円/1870円)の3サイズがあり、価格帯はそれぞれ2つずつ用意されている。リストを見ると20本近い銘柄が並んでいた。

山口の「天美」は女性杜氏(とうじ)が造る日本酒だ

ちょっといい料理店に行かないとあまり見ない青森の「田酒」や、東京の老舗大衆酒場で昔から看板になっている新潟の「鶴齢」など、知った銘柄がいくつかあったが、今回は、初めて見た山口の「天美」を片口(1870円)で注文。料理に合わせやすいすっきりとした辛口ながら、軽すぎず、芯のある凛々(りり)しいお酒だった。

日本酒が始まったので、次は少し酒肴(しゅこう)っぽい「菊芋の味噌漬け クリームチーズ和え」(638円)を頼む。姿を見るとわかるが、キクイモはショウガに似ていて、効能もウコンのように肝臓によいそう。そんな説明を聞いてしまうと、日本酒がますます進む。

「菊芋の味噌漬け クリームチーズ和え」(638円)。キクイモは肝臓にもやさしい食材

場所柄、店がフルで動き出すのは午後8時過ぎから。午後7時半前後から徐々に動きが出始める。早い時間は、日本酒好きやそば店で飲む習慣のある年配客がゆっくり時間を過ごし、メインの時間帯に向かうにしたがって、居酒屋感覚で利用する若い層に少しずつシフトしていく、そんな流れがあるのかもしれない。

予約して来る客もいれば、ふらっとのぞいて、席が空いていたら店に入るという客も同じくらいいる。店としても、そば店の気軽さを保つため、予約ですべての席を埋めないようにしているそうだ。

シメのそばもあるので、そろそろ「つくば鶏もも肉のから揚げ」(858円)を頼んで、そば前の注文はストップしておく。