知らない業界に触れられる

展示会は、企業同士のマッチングの場、商談の場として開催されているものも多くあります。今すぐ取引の見込みがあるわけではないのに、あるかのようなアプローチをするのは失礼ですので、その点は注意しましょう。

ただし筆者の経験上、一般公開されている展示会で、手が空いていそうなブースの担当者に「この業界に関心があるのだが、少しだけお話を聞かせてもらえないか」と声をかけてみるのは、試してみる価値があると思います。担当者にとっても来場者に関心を持ってもらえることは気分の良いものですし、その立ち話が何かに発展する可能性もあります。時間が空いているのなら快く話をしてくれる人もいます。

筆者は会社員時代、こうしたイベントを情報収集の場としてフル活用していました。例えば投資先に派遣される場合などは、こうしたイベントに参加して、業界の現状や取引先の理解に努めました。

同時に、自分に見えている範囲の外にある転職先を探すためにも貴重な場でした。例えば生命保険会社で働いていた時期は、どうしても生命保険の情報に目が向いていました。信頼できる知人からの情報も、同業他社に関するものに偏っていました。そんな中で、知らない業界の情報を集めるのに展示会はとても有意義でした。

ここ2年ほどリアルな展示会が少なく、こうした機会もつくれませんでした。リアル開催が復活してきている今、ぜひ積極的に参加してみてください。

天笠 淳(あまがさ・あつし)
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。

[日経 xTECH 2022年5月26日付の記事を再構成]