2022/8/30

理想の働き方「ワークライフバランス重視」

社会人としての理想の働き方に対する意識を聞くと「ワークライフバランスを重視したい」という選択肢に対して「とてもそう思う」「ややそう思う」と答えた人の合計は93.5%だった。一方で「仕事や出世を優先したい」との選択肢について「とても/ややそう思う」と回答した人も、35.1%と3人に1人を占めた。

法政大学キャリアデザイン学部教授の武石恵美子さんは「9割以上がワークライフバランスを大切にしたいと考える一方で、3人に1人が出世意欲があるというのは興味深い」と話す。「若い世代は、自分を犠牲にしてでも出世を目的にする昭和時代の男性的な働き方は望んでいない。私生活を大切にしながら面白い仕事を続け、その先には昇進がある、というイメージを持っている」

そのうえで武石さんは女性社員について、「入社時は元気でもだんだん意欲が下がっていく傾向もある」と指摘。現在のモチベーションを潰さないような取り組みを企業に求める。

私生活を重視する層についても「若手のうちにどのような仕事を任せるかが重要。入社当初は結婚・出産したら専業主婦になろうと考えていた女性も、仕事の面白さが分かればまた働きたいという意欲が高まる」(武石さん)という。

実際、調査では社会人になった後に「専業主婦志向」が弱まることも明らかになった。入社前・学生時代は「出産後に専業主婦になる」と考えていた人が12.4%だったが、就職後には4.5%に減少した。

ジェンダーギャップに戸惑いも

女性活躍や昇進に対して前向きなイメージを抱く令和入社の女性たち。一方、調査では、その意欲を阻む壁として、職場でのジェンダーギャップ(性差を理由とする格差や働きにくさ)も浮かび上がった。

職場でジェンダーギャップが「ある」と答えた人は2割にのぼった。自由回答では「男性が営業、女性が事務という偏見」(23歳・東京)、「『どうせすぐ辞めるだろう』と思われ、女性に責任ある仕事を渡さない」(24歳・鹿児島)といった声のほか、「既婚女性は海外転勤できない風潮がある」(25歳・東京)、「会社の運営に関わる部署は男性社員しかいない」(24歳・山形)などがあがった。

今春、都内のコンサルティング会社に就職した女性(25)は「女性は傷つきやすいので指導しにくい」との男性上司の言葉を聞いた。「実際、男性の同期に比べて、上司から指導を受ける機会が少ないと感じる。アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)が成長の壁になっている」と落胆する。

武石さんは「ジェンダー的に『おかしい』との違和感を5人に1人が持っている、という若い世代の感度を評価したい」と話す。「企業は男性目線で改革を進めると逆効果になる。彼女たちの声を聞き、女性自身に考えさせながら風土を変えていくべきだ」としている。

■道切り開く後押しを
働く上での女性のマイノリティー性も浮き彫りになった。「今の職場は女性が活躍できない」と考える245人に理由を問うと「女性上司が少ない、女性のロールモデルがいない」が最多の71%だった。「働き方改革が進んでいない」(41.6%)、「男尊女卑の企業風土」(25.7%)と続いた。

ロールモデル不在の中でも「私はこう働く」と、若手女性社員らが自らパイオニアとなるべく道を切り開けるよう、企業や社会が後押しする態勢も大切だ。
(松浦奈美)

[日本経済新聞朝刊2022年8月22日付]