銀行員冥利に気付いたのは客の住宅ローンを扱った時だ。生涯に一度あるかないかの節目に立ち会い、「ありがとう」と喜ばれる。「この仕事は水が合う」と確信し、銀行員としてどう成長していくか、真剣に考え始めた。

20代で出産し、家族の手を借りながら1人息子を育てた。運動会が雨天延期で平日になれば見に行けず、病気の子を夜間診療に連れて行くと「なぜ昼間に来ないの」と医師に責められた。後輩に同じ辛苦はさせまいと、働き方の改善に心を砕く。

管理職になってからも壁だらけだ。支店長代理時代には女性というだけで「責任者に代われ」と言われたことも。経験不足の慣れない仕事に、職場で人知れず悔し涙を流したこともある。一貫する原動力は「チャンスをくれた上司やお客さんを裏切らない」との思い。「ダイヤモンドの原石」と呼ぶ後輩女性が、生き生きと輝く手助けにもエネルギーを惜しまない。

(聞き手は松浦奈美)

[日本経済新聞朝刊2022年4月25日付]