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高齢で出産をする女性が増えている。厚生労働省によると、出産年齢が35歳以上の割合は1990年に1割未満だったが、2020年には3割となった。「出産か離職か」という二者択一の時代は終わりつつあるが、育児と仕事を両立しにくい社会だと感じる人は少なくない。高齢出産し、キャリアを確立した女性はどのように壁を乗り越えたのだろうか。

「マミートラック」への不安、出産前の学びで吹き飛ばす

明治安田生命で4月1日、36人の役員中(社外取締役除く)、唯一の女性執行役員が誕生した。人事部長の片山圭子さん(54)だ。バブル経済崩壊さなかの1991年に数少ない女性総合職として入社し、20~30代は本社や首都圏の営業所などで「がむしゃらに働いていた」。37歳で結婚。「子どもがほしい」と思ったとき、高齢出産のリスクや不妊について知った。

「早くしないとこのままでは産めないかも」。焦って妊娠を目指し40歳で第1子に恵まれた。当時は企業の社会的責任(CSR)の推進企画を課長級の立場で担っており、1年近く育児休業をとって復職した。

だがキャリアを築いた後の出産なだけに、出産前と比べると仕事量が減った。頑張っても出世や昇進から外れる「マミートラック」への不安を感じた。「このまま埋もれていくのかな」という不安、「頑張って築いてきたキャリアを捨てられるのか」というモヤモヤ。転機となったのが上司の「短時間でもいいから成果を出して」という一言だった。キャリアを捨てたくないとの思いに火が付き、効率的な働き方を模索した。

「上司、部下の力も結集することが務め」と明治安田生命・人事部長の片山さん

「上司、部下の力も結集することが務め」と明治安田生命・人事部長の片山さん

仕事内容をスピード重視か質重視か、どの程度質が求められているかなどを見分けて合理性を追求した。重たい仕事を後回しにせず少しずつ取りかかり、つまずいたらすぐに上司に相談して手遅れになることを防ぐ。時間内で最大の成果が出せるよう工夫した。

女性の活躍推進が話題となり始めた2011年にはダイバーシティーの推進室の立ち上げに尽力する。その後、支社で管理職に。そこでは仕事の優先順位をつけた上で、他の人に任せられる仕事は期日や完成度などを明示して依頼するなど「自分だけでなく上司、部下、それぞれの力を結集することが管理職のつとめ」という意識を貫いた。

第2子にも恵まれたが育児に親の介護も重なった。仕事も忙しく、子育てに後悔がなくはないが、11歳になる長女が「お母さんも頑張っているから私も頑張る」と言ってくれた。最近一番うれしかったことだ。

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