ローソンの佐々木紀子さん(写真左)は働き方を効率化した30代の経験を生かし、時短の管理職を務める

時短勤務を続ける管理職の女性もいる。ローソンの購買管理部シニアマネジャー(部長級)の佐々木紀子さん(47)は40歳で長女を授かった。投資家向け広報(IR)や事業計画などに携わった後、30代後半で経済産業省に出向。期間満了直後に出産、2年の育休を取った。出産前にシニアマネジャーに昇進しており、育休中は「中途半端に仕事をしないで、育児に集中すると割り切った」。

時短勤務での復職には、働き方改革の流れが味方した。会社が残業時間を減らすなど、効率的な働き方を模索する時期に重なったのだ。経産省の出向時代に既に働き方改革を経験していたので、従来の長時間労働の癖は直っていた。問い合わせや依頼には可能な限りその場で回答する。その場で回答できないものはいつまでに返事をすると宣言をしてリマインダーを設定するなど、仕事の迅速さを心がけた。

ローソンも「与えられたミッションや役割を果たしていれば、時短勤務でも問題ない」(人事企画部)という立場をとる。会議を夕方には入れないなど同僚の協力も得ている。佐々木さんは「30代で効率的な仕事の仕方を知っていたからこそ両立ができている」と高齢出産も前向きに受け止める。

高齢出産、リスクも考慮必要

しかし働きやすい企業ばかりではない。人材サービスのWaris(ワリス、東京・千代田)の田中美和共同代表は「『時短勤務者は仕事量も少なく最良の人事評価はできない』という企業側の思い込みでやる気をくじかれ、転職や独立に踏み切る女性が増えている」と話す。働く女性には「ボランティアや副業などを通じ『越境体験』をすることで社内外で多様なロールモデルを知り気づきを得てほしい」と言う。

男女雇用機会均等法施行後の第1世代として住友銀行(現三井住友銀行)に入社したSMBCオペレーションサービス(東京・港)副社長の浅山理恵さん(58)も比較的高齢での出産を経験した。後進の女性から出産時期についての相談を受けるが出産の先送りは勧めない。「昇進したら産もう、今は忙しいから、と先延ばしにしていると不妊のリスクも高まる」。働く女性が「憂いなく出産できる世の中になってほしい」と願うばかりだ。

■昔の自分との差に苦悩
自分はもうだめだ――。高齢出産と2年間の育児休業からの復帰後、周囲との差、かつての自分との差に記者はさいなまれた。「自分の成長と子どもの成長を同時に楽しめたほうがいい」という女性活躍推進支援のACT3(東京・目黒)代表の堂薗稚子さんは2児の母でもある。育休を取れば「キャリアが止まるのは当たり前。人間としての成長を武器にしてジャンプすればいい」という。

時間が思うように使えないと悩む人には「自分ではなくてもできることは他人に任せて」とアドバイスする。「子どもも仕事も今しかない。目の前にあるものを両方頑張るしかない」という言葉が響く。
(高橋里奈)

[日本経済新聞朝刊2022年4月25日付]