SDGsに関する活動だけでなく、その伝え方も評価
今回の調査では、SDGsや社会的課題の解決に積極的であるなどの観点で、魅力を感じたり、入社したいと思ったりした企業と、具体的にどのような魅力を感じているのかも聞いた。Z世代から得られた特徴的なコメントをまとめたのが図表6だ。

SDGsに直結するコメントが得られたのは、イオングループ、コカ・コーラ、ジーユー(GU)、ユニクロ、ユーグレナだ。また、キーコーヒーへのコメントで言及されている「原料の生産元が豊かであることが自社製品の品質の向上につながる」という点も「誰一人取り残さない」というSDGsの理念にかなっているといえる。カルビーへの「フードロス削減に向けた商品を開発しているから」も、売り上げに一見反するが持続可能性に貢献していることが評価されているかたちだ。
同じSDGsでも少し見方が違うのがサンリオとタイガー魔法瓶で、情報発信の在り方が評価されている。事業会社である以上、良い取り組みをするだけでなく、それを消費者や株主にしっかりと伝えることも求められている。
住友林業への「木材の有効利用」、サントリーへの「水に関することを気をつけているから」は、本業に対する評価だ。いくら社会貢献をしても、本業がしっかりしていなければそうした活動は続けられない。持続可能性に貢献する活動は、まずその活動が持続可能である必要があるのはいうまでもない。サントリーは洋酒の製造販売で創業し、現在も事業の中核であるが、05年からの企業理念は「水と生きる」であり、洋酒だけでなくあらゆる飲料に水は欠かせない。
図表7は生活に対する満足度について、Z世代とZ世代より上の世代で違いが出た項目をまとめた。
「自由に使えるお金の多さ」については、可処分所得と消費支出として捉えると、両者は総務省「家計調査」「消費者物価指数」などによれば、年齢が上がるにつれておおむね比例的に増えていく。しかしZ世代の方が満足度が高いのは、絶対的な金額は少なくても満足できる態度を持っているといえるだろう。

逆に「自由に過ごせる時間の長さ」については、Z世代より上の世代の方が満足度が高い。Z世代より上の世代は、仕事などでIT(情報技術)の登場と普及を目の当たりにし、例えば作業時間の短縮などの恩恵を実感してきた世代だ。逆にZ世代は生まれたときからIT環境が身近にある「デジタルネーティブ」とも呼ばれ、そうした恩恵は感じづらいだろう。さらに、前述の「まったり」した生活を実現するためには、時間がもっと必要と感じているかもしれない。
「生活の充実度合い」ではZ世代の方が高い結果となった。Z世代より上の世代がZ世代を巻き込んで何かをしたい場合、「若者はとにかくお金を持っていないはずだから、お金で訴求しよう」「生活の質をもっと向上させたいと思っているに違いない」といった思い込みは、見直した方が良さそうだ。
■ 調査対象:19~69歳の日本在住の男女
■ 調査方法:ウェブアンケート
■ 有効回答数:5235件
■ 調査期間:21年10月21日~10月25日
■ 調査主体:日経BPコンサルティング