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2階エスカレーター正面のビジネス書新刊を並べた書棚に3列に並べて面陳列で展示する(八重洲ブックセンター本店)

2階エスカレーター正面のビジネス書新刊を並べた書棚に3列に並べて面陳列で展示する(八重洲ブックセンター本店)

本はリスキリングの手がかりになる。NIKKEIリスキリングでは、ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチし、本探し・本選びの材料を提供していく。今回は定点観測している八重洲ブックセンター本店だ。年末年始は来店客も多く、ビジネス書の売り上げは好調だったが、月半ば過ぎからはいくぶん勢いが失っているという。売れゆきを引っ張るようなベストセラーが見当たらないのがその要因のようだ。そんな中、書店員が注目するのは高収益企業、キーエンスを多面的に取材し、その実像に迫った経済誌記者による一冊だった。

仕組みに合わせて正しい行動をやりきる

その本は西岡杏『キーエンス解剖』(日経BP)。副題に「最強企業のメカニズム」とある。著者は経済誌の日経ビジネスの記者。2013年に日本経済新聞社に入社、大阪を振り出しにさまざまな業界の企業取材を担当、日経ビジネスには21年4月に移った。

やりがいを求める社員をゆるく働かせてしまい、やる気に応えられていない「ゆるブラック企業」をテーマに取材を進めているとき、その対極にあるキーエンスの社員ならどう感じるだろうと思ったことが取材のきっかけだったという。やがてそれは「解剖キーエンス 人を鍛える最強の経営」という日経ビジネスの特集記事に結実する。そこからさらに取材を重ね、大幅に情報を加えて全面改稿したのが本書だ。

営業の最前線、他社製の装置が故障した直後にキーエンスの営業が現れたエピソードから本書は始まる。圧倒的な速さ、顧客のプロセスに寄り添った徹底した提案力、実演販売よろしく実機を持ち込んでデモするプレゼン力……。「属人的な意欲や能力に頼ることなく仕組みに合わせて正しい行動をやりきる。それがキーエンスの強さの仕組みに合わせて正しい行動をやりきる。それがキーエンスの強さの根源であり、人材育成の要諦でもある」と著者は書く。

そこから仕組みと風土とはどんなものかを丹念にエピソードを拾いながら描いていく。「筋トレ」のように毎日手短に繰り返される2人1組の商談の「ロープレ(ロールプレーイング)」、外出のスケジュール管理に使う「外報(外出報告書)」、「世の中にあるものでは、まだこれができない」というニーズを書き込む「ニーズカード」……。キーエンス独特のさまざまなツールや手法が登場し、その効果や徹底ぶりが描き出される。

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