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資源高や歴史的な円安による物価高騰を、日々実感するようになりました。円安が止まらない要因は諸外国との金利差拡大だとして、日銀に対し金融緩和の見直しを求める声もありますが、7月20〜21日に行われた金融政策決定会合では、大規模な緩和策の継続が決まりました。円安は一体どこまで続くのか。日本経済は持ちこたえられるのか。マネックスグループ社長の松本大氏に聞きました。

円安を食い止める動きも

5月の本欄で円安・インフレの話をした際、私は「1ドル150円台になることも十分あり得る」と言いました。当時はまだ1ドル130円近辺でしたが、その後さらに円安が進み、今では140円を伺う水準となっています。このままやはり150円まで行ってしまうのかと心配している方も多いかもしれません。でも、実は私は、今の段階では150円を突破する可能性は逆に低くなったのではないかと思っています。

というのも、日本はやはり経済規模が非常に大きな国であり、一気に底が抜ける前に、それを食い止めるような動きがさまざまな方面から生まれてくるからです。

例えば食料。これだけ円安が進むと、海外から輸入するより日本で作った方が割安になりますから、国内生産が増えてくるでしょう。また安全保障の意味でも国内の食料自給率を上げようという機運が高まっています。トウモロコシなどの飼料も、これ以上円安になると国産の方が安くなるというデータもあり、実際、飼料用トウモロコシの生産に力を入れる国内の農家も現れています。

松本大 マネックスグループ社長

松本大 マネックスグループ社長

エネルギーについても、値段が跳ね上がった石炭を輸入するよりも、何十年も閉鎖されていた国内の炭鉱を復活させたほうが採算が合うとか、そういう話が出てくるかもしれません。ロシアによるウクライナ侵攻以降、欧米ではエネルギー安全保障の観点から、ESG投資のE(環境)に関しては「今はCO2のことばかりは言っていられない」という空気が醸成されていますし、日本でも「脱炭素一辺倒では、エネルギーの安定供給が危うい」として、エネルギー政策を見直す議論が始まっています。

私自身はもっと国内の高性能な石炭火力発電を有効活用すべきだと考えています。政府があまり積極的にアピールしないのでほとんど知られていませんが、実は日本の最新の石炭火力技術はすごく進化していて、CO2をほとんど出さない非常にクリーンなものになっています。そうした火力発電所などを使いながら、エネルギーも国内で作る。食べ物も国内生産を増やしていくという流れが加速すれば、全体として輸入量は減っていくでしょう。

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