人気の熟成焼き芋をお取り寄せ 栽培工夫し糖度アップおいしいお宝発掘(3)

茨城県のJAなめがたしおさいから「冷凍焼き芋 紅優甘」、千葉県のさつまいもの石田農園から「甘熟べにはるか」をお取り寄せ
あふれるお取り寄せ情報の波にさらされ、自分の暮らしに合う良品が見つけづらいとお悩みの方に送る「おいしいお宝発掘」。第3回は熟成焼き芋をご紹介する。

郷愁を誘う「い~しや~きい~も~、おいも」の響きを耳にする機会はめっきり減ってしまったが、スーパーやコンビニなどを中心に焼き芋の売れ行きは好調が続いている。「安納芋」「べにはるか」「シルクスイート」など話題になった品種もブームだけで終わらず、数年前からは「熟成」というキーワードが加わって、焼き芋人気の熱は冷める様子がない。

収穫してすぐ一定期間貯蔵したほうが甘みの増す野菜はいくつかあるが、サツマイモもそのひとつ。貯蔵期間を設けることでデンプンが糖に変化し甘みが増すのだが、長く貯蔵すればするほど甘くなるかというと、そう簡単にはいかないのが、熟成のむずかしいところ。それでも、熟成焼き芋のなかには、「本当に焼いただけ?」と言いたくなるほど、洋菓子や和菓子に負けない甘さを持つ商品も登場している。今回は、その中からサツマイモの特徴的な栽培方法を採っている生産者の熟成焼き芋を取り寄せてみた。

「さつまいもの石田農園」 果物のように糖度を意識して栽培

袋はジッパー付きなので、保存もしやすい

サツマイモはそもそも野菜ということもあり、果物のように糖度を意識して栽培している農家は限られる。形や重さを優先したほうが高く売れる世界なので、甘さを追求して育てるという発想になりにくいのだ。

「焼き芋業者が求める(甘みのある)サツマイモはまだまだ足りない状況です。うちにも問い合わせが毎日のようにあるのですがとても対応しきれないです」

そう話すのは、千葉県香取市にある「さつまいもの石田農園」の石田湧大さん。国内最大規模の焼き芋フェス では、参加する焼き芋販売業者のおよそ3分の1が石田農園のサツマイモを使用しているという人気の生産者だ。石田農園では自社で加工も手掛け、地元の道の駅とデパートの催事で販売してきたが、2021年12月にようやくオンラインストアが始まり、直接取り寄せがしやすくなった。

送料込みで3300円は贈答にもお手ごろだ

今回は「甘熟べにはるか」をお取り寄せ。食べきりサイズの小ぶりの焼き芋がチャック付きの袋に3~5本(約300g)入って、4袋3300円(送料込)。

「ふつうサツマイモは湿度と温度の変化がない場所で150~180日保管すれば、甘みが出るといわれます。でも、それを待っていると焼き芋のシーズンが終わってしまう。うちでは連作にならない作付け計画と肥料設計で、40日で糖度が上がるよう栽培の時点から意識的に取り組んでいます。栽培から変えないとうちのような甘さは出ないと思います」(石田さん)

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「JAなめがたしおさい」 スーパーの焼き芋機を普及