これからを勝ち抜く、成長し続けるマネジメント人材

転職先で役員に起用される人と部長止まりの人の「境界線」について、理解してもらえたかと思います。最後にもう1つ、これからを勝ち抜くマネジメント人材、とりわけ役員候補人材は、「学習力・習慣化力(学び続ける力)」を持つ人が選抜されることになります。

いわゆるリスキリング(学び直し)力のあるリーダーなのかどうか、望ましい経営行動を習慣的にとれる人なのかどうか。ここが問われます。組織エンゲージメント、SDGs(国連の持続可能な開発目標)的観点も非常に重要視される今、その体現者としての価値観・倫理観を持つ人が役員として適任とされるようになっているのです。

そもそもどのような仕事、事業、組織、経営にも、これで終わりという完成形はありません。時代ごとに変化や対応を求められます。なにがしかの責任を負う立場のリーダーであれば、「日々是勉強」を生涯、自らに課すことになります。おごらず、過去の成功に縛られず、あらゆる事象や世代から学び続ける力が求められます。言われたことだけをやるのであれば、勉強は不要かもしれませんが、それでは人工知能(AI)に駆逐されてしまうでしょう。

さらには優れたリーダーの共通項として、自分の専門性や経験を「方法記憶化」(無意識的に再現できるレベルまで記憶化すること)するまで徹底的に繰り返し反復する習慣化力を持っていることが挙げられます。

できる経営者は、事業においてもプライベートにおいても、自分は全く苦に思っていないのに、周囲から見ると「えーっ、そんなことを、そんなにやっているんですか」という驚きの習慣をいくつか持っていることが多いです。一般的には努力や忍耐を要する、苦労と思われるようなことで、自分は全く苦にならないことは何でしょう。ぜひチェックしてみてください。

「学習力・習慣化力(学び続ける力)」の有無は、「過去の蓄積に留まらず、常に外部からの新たな知見を吸収しようとしているか」「常に学んだことを現場に生かし、現場でわいた疑問や知見不足を補うべく学びに行っているか」を見れば一目瞭然。この部分は、案外、部下たちがよく上司の資質を見ているものです。

転職で役員に起用されることを目指す人には、ぜひとも5つの力を棚おろしして、強化を図ってほしいと思います。特に「構想力(描く力)」と「決断力(決める力)」、「学習力・習慣化力(学び続ける力)」について揺るぎない自信を持ち実行できることを目指してください。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。

井上和幸
 経営者JP社長兼CEO。早大卒、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、リクルート・エックス(現リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。「社長になる人の条件」(日本実業出版社)、「ずるいマネジメント」(SBクリエイティブ)など著書多数。

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