世界のVIPが堪能した天ぷら 銀座で手軽に味わう天ぷら編② 天ぷら 阿部 8丁目店

「天ぷら 阿部 8丁目店」の天ぷら盛り合わせ
大切な人と一緒に行きたいお店を選べるサイト「大人のレストランガイド」
から、安心して通える「行きつけにしたい店」をピックアップして紹介します。 

「銀座で行きつけにしている天ぷら屋さんがあるので、いつでも案内するわよ」

こんな格好いいこと、一度は言ってみたい。しかし、日本で1位、2位を争う地価が高い東京・銀座にある天ぷら店は、超高級店ばかり。接待費が自由に使える身分でもなければ難しい。ところが、普通のビジネスパーソンでもそんなセリフをさらっと言い切れる店がある。「天ぷら 阿部 8丁目店」(東京・中央)だ。

東京メトロ丸ノ内線、銀座線、日比谷線の銀座駅から徒歩で数分、中央通りから1本入った筋に、店はある。小さなビルを3階まで上がると、扉にかけてある赤いのれんに黒文字でくっきり書かれた店名が目に入る。小さいながらも存在感のあるたたずまいだ。店内はカウンターが8席のほか、最大8人で使える個室もある。窓からは銀座の通りを行き交う人が見下ろせる。

カウンター席は初代店主の阿部三郎さんとのおしゃべりが楽しい

このこぢんまりした雰囲気にほっとする。カウンターごしに初代店主の阿部三郎さんのやさしい笑顔を見ると、初めての店なのに、昔、家の近所にあった気さくなすし店のような、どこかなつかしさも感じるのだ。

敷居の高さを感じさせない理由はほかにもある。2017年12月に発行された『ミシュランガイド東京2018』に「天ぷら 阿部」(現在の「天ぷら 阿部 本店」、本店が付いたのは後に「天ぷら 阿部 8丁目店」が出店したから)が ビブグルマンとして掲載されたのだ。ビブグルマンとは、本体価格5000円で食べられるなど、コストパフォーマンスの良い飲食店を、ミシュランが評価したもの。今、同店では夜は6100円から天ぷらが楽しめる。これなら、銀座の天ぷら店でも「行きつけ」にできる。

天ぷらを揚げ続けて50年、初代店主の阿部三郎さん

もちろん、単にリーズナブルなのではなく、銀座にふさわしい品格とおいしさでは超高級店にひけをとらない。天ぷらを揚げて50年になる阿部さんは長年、高級ホテルに入っている「なだ万」で腕をふるってきた。国内外から訪れる数多くのVIPが阿部さんの天ぷらに舌鼓を打ってきたという。その味をここでは気軽に味わえるのだ。実際、「天ぷら店のカウンターは初めてという若い方もいらっしゃいますよ」と阿部さん。

ちなみに、阿部さんはホテルの「なだ万」を勤め上げた後に縁あって、銀座4丁目の天ぷら店に店主として迎え入れられ、屋号も「天ぷら 阿部」と名付けてもらった。ミシュランに掲載された後、4丁目の本店は若手に店主を譲り、新たに出店した8丁目店で天ぷらを揚げ続けている。

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こだわりの揚げ油の割合は綿実油8と太白のゴマ油2