
ボンジュール!パリ在住ライターのユイじょりがお届けする、食の豆知識。今回は日本が世界に誇る発明食材、カニのようでカニではない、でも限りなくカニに近い「カニカマ」に着目してみた。
多くの読者が想像するとおり、海外で生活をしていると、納豆や新鮮な豆腐、こんにゃくなどの「THE 日本」らしい普段使いの食材はそう簡単には手に入らない。しかし、フランスで例外的に、日本のものとほぼ同じ状態で、かつ簡単に手に入る食材がある。それがきょうのテーマ「カニカマ」である。
「ワタリガニのトマトクリームパスタ」をカニカマで
きっかけは、2カ月ほど前のとある夜のこと。SNSで見た「ワタリガニのトマトクリームパスタ」がどうしても食べたくなったものの、ワタリガニなんて内陸パリでそう簡単に手に入るものでもない。どうしようと冷蔵庫をのぞけば、カニカマ好きな我が仏人夫が買ってきた、まるで本物のカニ脚そっくりなカニカマがある。

「ワタリガニがなければカニカマで作ればいいじゃない」と心の中のマリー・アントワネットがささやいた次の瞬間、出来上がったのは「カニカマのトマトクリームパスタ」。特別なことはしていないのに、カニの味がしっかりするうえ、殻が付いていないのでとても食べやすい。これはもう、本物のカニをこえているのではないか?とさえ思える出来だった。

「カニカマは冷たい状態でしか食べたことがない」と言う仏人夫からも、このカニカマパスタは大好評。この成功体験を得たのち、自他ともに認める料理バカの筆者は、「カニと名のつく料理をもっぱらカニカマで作る」活動をはじめた。カニカマ沼に見事ハマってしまったのである。

大ヒット!カニカマクリームコロッケ
カニカマは火を通しても通さなくても、ジャンルを問わず様々な料理に対応できるところが素晴らしい。まさに、底なしの可能性を秘めていることを実感した。
我が創作カニカマ料理のなかでも、マイ・パリコミュニティを席巻したのが、こちらのコロッケ。

この流れでコロッケ×カニカマとくればもうおわかりだろう、日本の洋食の定番・カニクリームコロッケ改め、「カニカマクリームコロッケ」である。
食にうるさい仏人夫にも、予想以上にウケたこのコロッケ。SNSに上げてみたところ、パリ在住の友人たちからの食いつきが特に激しい。皆、日本の味に飢えているのであろう。
この声に応えるように、友人たちとの再会を祝しては カニカマクリームコロッケを作って持参したところ、どこでも大好評の完売御礼。下は5歳児から上は70代後半まで日仏老若男女を魅了するにいたった。