考え抜いて実践した経験詰め込む

「どうすれば、書く仕事で生きていける?」。ライターとして仕事を始める当初から「しつこくしつこく考え続け、試し、失敗して、考え直して、やり直して……をくり返している」経験がまるごと詰め込まれているのが本書の得がたい魅力だ。文章のレベルには「間違っていない」「わかりやすい」「面白い」の3段階があり、「わかりやすい」までいければライターとして十分食べていけるなど、経験からのアドバイスにリアリティーがにじむ。宣伝会議主催の「編集・ライター養成講座」で長年講師を務めていることもあり、様々なライター志望者の生の声にも接している。多くのライターの友だちを持ち、そこからの研究も怠りない。ときに自嘲や軽いジョークを交えた筆致からは、書いて生きていくことを全身で楽しんでいる様子が伝わってくる。そんな著者の自分語りに思わず引き込まれる読者も多いだろう。

「書くこと以外が8割という視点がユニークで、おもしろい。入荷してから1カ月近くになるが、1度は2位になったこともあり、ランキング上位が続いている」とビジネス書を担当する本田翔也さんは話す。同書店では、4月刊の同じくベテランライターによるライターの教科書『取材・執筆・推敲』(ダイヤモンド社)も発売直後にベストセラーになった。広告・企画会社やウェブ系のメディア企業などが多く立地する青山近辺らしい売れ筋だ。

NFTの解説本が4位に

それでは、先週のベスト5を見ていこう。

1位はマーケティングの未来を豊富な事例から考えた本。多くの企業のブランド戦略立案やイノベーション・プロジェクトに携わるブランドリサーチのプロが筆者だ。2位は一般のビジネスパーソン向けの「クリエイティブ」入門書。1月刊の本で、息の長い売れ筋になっている。3位に今回紹介した『書く仕事がしたい』。4位には、話題の非代替性トークン(NFT)について、技術や法制度など多面的な角度から解説した本が入った。5位は前回の本欄の記事「起業という生き方の魅力 元NewsPicks編集長が語る」で紹介した『起業のすすめ』だった。

(水柿武志)

書く仕事がしたい

著者 : 佐藤 友美
出版 : CCCメディアハウス
価格 : 1,650 円(税込み)