海外で活躍する女性も増加

ワインは年による味わいの違いが魅力の1つだが、メルシャンのような大きなワイナリーでは、毎年一貫した味わいのワインを提供することも消費者から求められている。丹澤さんは「味わいのスタイルが完成されたワインは、そのスタイルを守りつつ、もっとよいものができないかと常に考えながら造っている。それが仕込み統括の仕事の醍醐味でもある」と話す。

丹澤さんが仕込み統括として初めて手掛けた2021年産が本格的に市場に出回るのはこれから。その中でも、世界最大級のワインの国際コンクール「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」で何度も入賞している「笛吹甲州グリ・ド・グリ」(オープン価格)は、飲んでほしい1本という。

海外で活躍する日本人女性醸造家も増えている。

「ベルンハルト・コッホ」のケラーマイスター、坂田千枝さん

ドイツ南部ファルツ州のワイナリー「ベルンハルト・コッホ」のケラーマイスター(醸造責任者)を2013年から務める坂田千枝さんは、兵庫県の出身。農業高校時代に訪れたドイツで見た一面のブドウ畑に感動し、卒業後すぐにドイツに渡った。専門学校に通ったりワイナリーで働いたりして栽培・醸造を学んだ。

坂田さんは「ワイン造りで大切なのはワインに寄り添う姿勢。自分からこうしよう、ああしようとしても、意図した通りには絶対にならない。例えばいつ澱引きをするかなどは、ワインが出すシグナルを見逃さず、適切なタイミングで適切に行うことが大事」と醸造哲学を披露する。

「ヘレンブッケル ピノ・ノワール クーベーアー トロッケン 2018」
シャトーメルシャンの「笛吹甲州グリ・ド・グリ 2021」

坂田さんのワインは、ドイツワインのPR機関「Wines of Germany(ワインズ・オブ・ジャーマニー)日本オフィス」などが選んだ「ベスト・オブ・ドイツワイン50選」に2本選出されるなど、プロからも高く評価されている。その中の1本、「ヘレンブッケル ピノ・ノワール クーベーアー トロッケン2018」(税込み希望小売価格4620円)は、欧州のピノ・ノワールらしい、エレガントでスパイスのニュアンスが特徴の複雑な味わいのワインだ。

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日米首脳会談の晩さん会に振る舞われた1本