
――そもそも始めた狙いはなんでしょうか。
経営層が最近よく「深化と探索」という話をしています。つまり新しいことをやって失敗しましょうということが会社全体のメッセージとして提示され、アントレプレナーシップ(起業家精神)がキーワードとして出てきているのに、採用ではそういう人と出会えているの?という話がブレストで出てきたのです。
ちょうどその頃、起業している学生と話していたときに、一社に勤めるかどうかというのを非常に悩まれていて、「ソニーに勤めたとして自分の事業を続けられるんでしょうか?」という問いかけもありました。起業している若い方がどんなことに悩んで、どんな寄り添い方、どんなパートナーシップの組み方があるんだろうかと考えていったのが開催のきっかけですね。
もう1つの目的は失敗の経験をした人と出会いたいということです。学生時代にはスポーツなどでの失敗もあると思いますが、ここで言う失敗とは、社会やビジネスという文脈です。今回の参加者の中には、起業しようと思ったけど途中で挫折してできなかったという人もいました。起業するというのはやはり思い切った決断だと思うので、その過程でどんな経験を積んだか、試行錯誤と失敗をするなかでどんな学びがあったかというところを知りたかったというのもあります。
半導体人材、機電系以外からも 全国の理系ローラー作戦
――全体として特にほしい人材は。
足元ではやはり半導体なんですよね。ソニーでは特にイメージセンサーの事業領域を強化しているので。ソニーを志望するのは機械・電気系を専攻する学生が多いというイメージがあると思うのですが、それも少し変えていきたい。多様な事業を抱える中で、機電系だけではスキルセットも狭まる。キャンパスへ行くとわかると思うのですが、工学部って男子学生が多いですよね。リケジョという表現はあまりよくないのだと思いますが、ジェンダーやSDGs(持続可能な開発目標)といった観点からも、もっと人材を多様にしていきたい。
技術面で考えても、イメージセンサー領域が今後、無機から有機へ変わったら、生物・脳科学の知見も必要かもしれない。農学部、薬学部、化学・生物系などもアプローチしないといけないと考えています。