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鍋料理のパートナー調味料としてすぐ頭に浮かぶのが調味料大手のミツカンのロングセラーぽん酢「味ぽん」だ。もともと鍋料理を楽しむ「ぽん酢としょうゆを合わせたたれ」として1964年に最初の商品が発売された。しかし、80年代以降はギョウザや焼き肉、焼き魚などに合わせるという「鍋外」の使い方が広まった。家庭の「基礎調味料」に出世していった裏側には、ミツカンの周到なマーケティング戦略があった。(前回の記事「味ぽんの誕生は水炊きから 関東・東北で苦戦したワケ」)

ミツカンが2020年秋からのテレビCMで主に提案したのは、料理に使う調味料としての役割。俳優のムロツヨシさんが出演したこのCMで、妻や子供と一緒に作って食べる料理は「鶏のさっぱり煮」だ。味ぽんと水を「1対1」で鍋に入れ、ショウガやニンニクなどと一緒に鶏の手羽元を煮込む。16年から提案してきたメニューだが、あらためてCMでアピールした。

味ぽんを使った「鶏のさっぱり煮」

味ぽんを使った「鶏のさっぱり煮」

新型コロナウイルス禍に伴い、自宅で食事をする内食化が進んだことが再プッシュの背景にある。家で食べる頻度が上がり、食べ飽きない様々な味付けが求められる中、味ぽんの存在感は高まったようだ。鶏のさっぱり煮も「家庭で料理をする機会が増えているからこそ、新しい使い方としてアピールする価値があると思いました」と、ミツカンMD本部商品企画部商品企画2課の掛田実穂さんは説明する。

味ぽんの主な購入層は50~60代の女性だ。その次に多いのは、子育て世代だという。「マヨネーズと味ぽんを混ぜる『マヨぽん』など、調味料として使う人が多い」(掛田さん)。13年から力を入れてきた「料理の味つけに使う調味料としての提案」が、じわじわと浸透してきたようだ。料理を口に運ぶ最後の味付けとしてだけではなく、もっと手前の「調理」の段階へと出番が広がってきた。

キッチンで調理に使うとなれば、大容量タイプが便利だ。実際、味ぽんに代表される「味つきぽん酢」のカテゴリーでは、多くのメーカーで容器の大容量化が進んでいるという。

POS(販売時点管理システム)データなどを読み解くと、味ぽんでも600ミリリットルや1リットルの容器に入った商品の売れ行きが好調だ。20年9月~21年8月のPOSデータでは、味ぽんは600ミリリットル入りが、食卓で使いやすい定番の360ミリリットル入りを上回った。味ぽんにはもともとしょうゆが加えられているが、キッチンでも「しょうゆ並み」のキープレーヤーに仲間入りしたとみえる。

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