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秋が旬の国産殻付きくるみ むき身には戻れない新鮮さ

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NIKKEI STYLE

お酒のつまみとして、あるいはパン、お菓子、料理のトッピングとしておなじみのくるみ。決して主役級ではない地味な存在ではあるが、実は近年の人気の高まりから消費量が増え続けている。収穫は9月から10月にかけてで、今がまさに旬だ。9月30日は「くるみの日」だそう。「9(く)る3(み)は0(まるい)」ということからくるみの生産量日本一である長野県東御(とうみ)市などの愛好家が「制定」したという。そこで今回は、くるみにまつわるあれこれを調べてみた。

スーパーやコンビニなどで、くるみとほかのナッツ類やドライフルーツがパッケージ売りされているのを見たり購入したりしたことがある人も多いのではないだろうか。ちょっと健康志向の高い人が罪悪感なく小腹を満たすことができる。

あのパッケージの中のくるみは、いわゆるむき身のくるみだ。日本ナッツ協会発表の輸入統計によると、現地で殻をとってむき身の状態で輸入されるくるみの輸入量は2010年は約943万キロ、2020年は約1882万キロとこの10年で約2倍に増えている。ちなみに、米国カリフォルニア産と中国産で占められている。

一方で、貴重な国産、特に殻付きのものが注目されているという情報を得た。

「ここ10年ほどで殻付きの人気が出てきました。収穫後自然乾燥させた殻付きのくるみは生きているので、条件が合えば発芽します。むき身の状態で空気に触れ続けると酸化し、微妙に風味が落ちてきますが、殻付きなら生きているフレッシュな状態のものを食べることができます」

そう語るのは、長野県東御市にある、くるみの研究や試験栽培、遺伝子保存などを行う施設「サンファームとうみ」の研究室長・平井尚之さん。

長野県の東部に位置する東御市は、全国一のくるみの生産量を誇ることから「くるみの里」と呼ばれている。産業経済部農林課農政係の小山博志さんによると、国産のくるみの約8割が長野県で栽培されており、東御市はその半分を生産している。栽培本数は2017年時点で約8000本、市でも毎年500本ほど栽培農家にくるみの木を供給し1万本を目指しているという。

国内で流通しているくるみは多くが輸入のむき身だが、東御市など国内の産地では現地の農産物直売所で殻付きを購入できるし、ネットでも買うことができる。

2020年1月11日付けの日本経済新聞でも「ナッツ、殻付きに注目 新鮮で風味豊か」と報じている。少し引用してみよう。「アーモンドやクルミなど健康・美容食として世界的に人気が高まっているナッツ。(中略)最近は殻がついたままのものにも注目が集まってきた。むき身に比べて、殻付きは割りたてのフレッシュで豊かな風味が楽しめる。見た目もかわいいと若い女性に人気。殻を割るという一手間をあえて魅力に感じる人も多いようだ」とある。

なるほど、確かに私のまわりでもくるみやアーモンドを殻付きで買う女性が増えていて、「殻付きのおいしさを知るとむき身に戻れない」のだそうだ。「むく作業がクセになる」という人もいれば、逆に「むく手間があるので、食べすぎを防げる」という人もいる。

殻付きで保存なら2年おいしい

我々が一般的に「殻」と呼んでいる部分は「核」といい、食べているのは「子葉」という部分。どんぐりなどのようにあの茶色い殻のまま木になっていると思っている人も多いかもしれないが、そうではない。核は「外果皮」と呼ばれる分厚い果肉に包まれている。桃や梅の種のその中身を食べているようなもの、と考えるとわかりやすいかもしれない。

殻付きの良さは味の面だけではない。「お米もモミ付きだと貯蔵性がいいように、殻付きだと保存がききます。2年くらいはおいしく食べられます」と平井さん。冷暗所で保管しておくとよいそうだ。

中には殻付きがなかなか手に入らないという人もいるだろう。そんな人においしく食べるちょっとしたコツを。「むき身の場合は、ラップなどで密閉して冷凍すると鮮度保持にいいですね。くるみは脂肪分が多いので、冷凍してもカチカチに固くはなりません。冷凍庫から出してすぐに食べられます」(平井さん)とのこと。

私もむき身のくるみを開封して食べた後、数日後に再び食べようと思ったら酸化していておいしくなかったという経験がある。あれは冷凍しておけばよかったのか!

ところで、現在日本で栽培されているくるみはどこから来たのだろうか。平井さんによると、日本含め世界各地で栽培されているくるみのほとんどが「ペルシャグルミ」という種に由来する品種や系統で、原産地はペルシャ帝国、今のイランのあたり。「ペルシャからシルクロード経由で中国へ、さらに朝鮮を経て1600年ごろ日本にペルシャグルミの変種、『テウチグルミ』が伝わりました。豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に日本に持ち帰ったとの説もあります」

一方、ペルシャグルミは地中海を超えてヨーロッパにも伝わり、そこからアメリカ大陸に渡った。たまたま適地だったのがカリフォルニアで、現在は中国とともに世界の生産量のほとんどを占める産地となっており、これが明治時代に米国の宣教師によって日本に持ち込まれたという。

東御市で栽培されているくるみは「シナノグルミ」といって、テウチグルミとこの米国経由のペルシャグルミの交雑だとされている。

平井さんは「ロマンチックな言い方をすれば、ペルシャで生まれたクルミが東まわりと西回りに分かれてこの地で再び出合い、生まれた品種ということになります」と笑う。実が大きく、殻が薄いので、割りやすく食べる部分も大きい。コクがあって風味がいいのが特長だ。

殻を割る道具でおすすめは……

殻を割る専用の道具はいろいろあるが、平井さんはさまざま試した中で「ポンププライヤー」がオススメという。これは水道工事などに使うレンチのような器具で、ホームセンターなどで入手可。ヘッド部分の大きさを何段階かで調整できるので、さまざまなサイズのくるみをしっかりつかむことができる。

「殻のつなぎ目、『縫合線』の上にヘッド部分が乗るようにはさむことがポイントです。割ったらピンセットを使って子葉の部分を取り出します」(平井さん)。

目の前で割るのを見せてもらったが、それほど力を入れずにパリッと割れた。ピンセットでつまんで子葉がそのままパカッときれいに取れると気持ちいい! 確かにこれはクセになる!

割って取り出したくるみはそのまま生で食べられる。

生でもおいしいが、フライパンにオリーブオイルと塩を少々入れてローストするとさらに香ばしさが加わり、シンプルだけど最高の酒のつまみに。また、東御市ではすったくるみにみそと砂糖、塩少々を合わせたものをまぶした「くるみおはぎ」、くるみだれでいただく「くるみそば」などの郷土料理がある。

カリフォルニアくるみ協会のウェブサイトには「オメガ3脂肪酸を多く含むくるみを食べることは、脳によい」との記述がある。このように良質の脂質を含むことから「スーパーフード」と呼ばれる。また、紀元前7000年の昔から人類が食用としてきたことから「最古のナッツ」とも称される。生命力が強く、実はスゴい存在なのだ。「地味」だなんて言ってごめんなさい。これからは積極的に摂取しよう。特に、殻付きくるみを見つけたら絶対「買い」だな。

(ライター 辻佳苗)

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