外果皮に包まれたくるみの実

殻付きで保存なら2年おいしい

我々が一般的に「殻」と呼んでいる部分は「核」といい、食べているのは「子葉」という部分。どんぐりなどのようにあの茶色い殻のまま木になっていると思っている人も多いかもしれないが、そうではない。核は「外果皮」と呼ばれる分厚い果肉に包まれている。桃や梅の種のその中身を食べているようなもの、と考えるとわかりやすいかもしれない。

殻付きの良さは味の面だけではない。「お米もモミ付きだと貯蔵性がいいように、殻付きだと保存がききます。2年くらいはおいしく食べられます」と平井さん。冷暗所で保管しておくとよいそうだ。

中には殻付きがなかなか手に入らないという人もいるだろう。そんな人においしく食べるちょっとしたコツを。「むき身の場合は、ラップなどで密閉して冷凍すると鮮度保持にいいですね。くるみは脂肪分が多いので、冷凍してもカチカチに固くはなりません。冷凍庫から出してすぐに食べられます」(平井さん)とのこと。

私もむき身のくるみを開封して食べた後、数日後に再び食べようと思ったら酸化していておいしくなかったという経験がある。あれは冷凍しておけばよかったのか!

ところで、現在日本で栽培されているくるみはどこから来たのだろうか。平井さんによると、日本含め世界各地で栽培されているくるみのほとんどが「ペルシャグルミ」という種に由来する品種や系統で、原産地はペルシャ帝国、今のイランのあたり。「ペルシャからシルクロード経由で中国へ、さらに朝鮮を経て1600年ごろ日本にペルシャグルミの変種、『テウチグルミ』が伝わりました。豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に日本に持ち帰ったとの説もあります」

一方、ペルシャグルミは地中海を超えてヨーロッパにも伝わり、そこからアメリカ大陸に渡った。たまたま適地だったのがカリフォルニアで、現在は中国とともに世界の生産量のほとんどを占める産地となっており、これが明治時代に米国の宣教師によって日本に持ち込まれたという。

東御市で栽培されているくるみは「シナノグルミ」といって、テウチグルミとこの米国経由のペルシャグルミの交雑だとされている。

平井さんは「ロマンチックな言い方をすれば、ペルシャで生まれたクルミが東まわりと西回りに分かれてこの地で再び出合い、生まれた品種ということになります」と笑う。実が大きく、殻が薄いので、割りやすく食べる部分も大きい。コクがあって風味がいいのが特長だ。

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