脂たっぷりのバラ肉が火まみれ……それはおいしい

ホソについて調べてみると、やはり小腸の一部だった。一般的には、小腸は丸チョウといわれることが多いが、丸チョウは、きれいに洗った小腸を裏返し、輪切りにして提供するが、ホソは横半分に切り分ける。関西では多い呼び名のようだ。
興味深い部位も頼んでみた。赤身カテゴリーにある「天肉」(1000円)だ。スタッフに聞くと牛のホホ肉という。細長い薄切り肉で、脂分は少なめだが、これはこれでありだ。一皿で10切れあり、こちらもコスパは高い。
ただ、ここまでくると、普通の肉も食べたくなる。「アジェ」は、いわゆる精肉も数多くそろえており、「上バラ」(1700円)を注文する。値段的には、そこそこいく。この戦略にまんまとはまってしまった。

大きさは小さめだが、バラだけに脂があり、焼き台に乗せると、火まみれになる。少し厚みがあるのもいい。最近の食べ放題焼肉店は、カルビと称して薄めにカットしているところが多いのだが、肉質が良いのか、サクッと食べやすい。こうした普通の焼肉店としてもレベルが高いのが、「アジェ」の魅力だろう。
「アジェ」は現在、9店。京都の繁華街、河原町から少し南に下った松原本店を発祥に、京都で店舗展開した後、大阪、金沢にも出店し、最新店として進出したのが、東京・有楽町だ。この勢いだと、まだまだ店舗展開しそうな勢いだ。
ちなみに「アジェ」の意味をスタッフに聞くと、韓国語で「オジさん」の意味。くだらないダジャレを言うような人を指すらしく、「オッチャン」と表現した方が適当かもしれない。確かに店内は、オッチャンとその連れの女性が目立った。
そして、もう一つ、疑問があった。「ホルモン千葉」に続いて、「アジェ」が京都から上陸してきた。なぜ京都? という疑問だ。一説によると、京都は実は牛肉消費量が多く、そのため、ホルモンの供給量も多いという話だ。
家計調査で政令指定都市の牛肉消費額を調べると、京都市は年間3万2703円で、滋賀の大津市に次ぐナンバー2。全国平均の1万7840円の1.8倍にもなる。実際、京都人は牛肉好きだったのだ。
関西圏で焼き肉やホルモンというと、大阪市南部の鶴橋を思い浮かべる人が多いと思うが、実は京都も侮れないことがわかる。ちなみに大阪市の牛肉消費額は2万3792円で全国8位だ。
京都ホルモン、ジワジワ来そうな勢いを感じる。
(フードリンクニュース編集長 遠山敏之)